「国民の皆さんに備えが万全だと言える態勢を作りたい」と、北朝鮮と韓国の砲撃戦を受けての菅首相の発言である。

 

また、菅内閣に危機管理能力が問われる事態が勃発した。今度は場合によっては、菅首相が言うように「不測の事態」に備える必要がある。

 

だから、この緊急事態に言葉尻をとらえてとやかく言う気はない。

 

  ただ、こうした時の一国のリーダーは、「備えは万全である」、「心配はいらない」、「冷静にいろ」と、言えばよい。もちろん、態勢を万全たらしめることは当り前なのだが。

 

  菅直人という人物は正直なのか、愚かなのか。

 

  「備えが万全だと言える態勢を作りたい」ということは、現時点では備えは万全でないということを内外に表明しているのである。実際には優秀な自衛隊の制服組が万怠りなく不測の事態に対する軍事的対応はとっているのだとは思うが。

 

政治主導の面目躍如がこの現下の局面である。なのに、冒頭の言葉である。

 

おそらく、万全な態勢ということの具体的内容を把握していないために、こうした自信なさげな言葉が出てくるのだろう。国民は不安でしかたがない。

 

  今回、不測の事態が起これば、先送りや右顧左眄する時間的余裕はない。失敗は許されず、即座の政治決断が求められる。この内閣にそれができるか。

 

  民主党政権を選択したわれわれは、今日、本日においては、菅首相に過(アヤマ)たぬかじ取りを、本当に祈るような気持ちで、やっていただくしかないのである。

 

  俎板の上の鯉の気持ちとはこのようなものなのだと知った。今日、明日の危機である。菅という料理人の包丁さばきが的確であることを心から祈る。