10月27日(金)開催された第6回東京都心身障害者扶養年金審議会において、扶養年金制度廃止の最終答申案が採択され、答申書が山崎泰彦審議会会長から山内隆夫福祉保健局長に手渡された。当審議会は都知事から「東京都心身障害者扶養年金制度の社会的役割の変化を踏まえた今後のあり方」について諮問を受け、平成18年5月12日を第1回とし、わずか6回の審議で答申に至った。審議時間わずか7時間弱のスピード審議である。

 27日の最後の審議会は午後6時から開催され、松山祐一障害者施策推進部副参事により31分にわたり答申案の説明があり、山崎会長から質問の有無につき委員全員に確認された。委員からは質問も発言もまったくないまま、答申案は全員一致で承認された。4分間の休憩に入った後、山崎会長から予め用意されていたと思われるメモに沿い総括がなされた。

「(扶養年金制度廃止に至った)答申は、(制度の利用者、当制度を利用しない障害者、一般都民のそれぞれの立場を考慮した)ギリギリの妥当線を探ったもの」であると自画自賛の講評が行なわれた。続けて「委員を引き受けるに当り、都から財政状況の説明を受け、制度の存廃を含む審議を行なって欲しい、秋まで結論を出したいと言われ、引き受けを逡巡したが、(答申が)全員一致の結論で嬉しく思っている」と、各委員、都事務局に対するお礼と労いの言葉で総括は終了した。そこで冒頭の答申書の手交式となった。杉村福祉保健局総務部長から委員へのお礼と挨拶がなされ、閉会が宣されたのは午後6時47分であった。

 

 一般就労が極めて難しく障害基礎年金以外に収入のない障害者たちが、親亡き後に月3万円の年金をもらえるように、20年間にわたり掛け金をかけ続けてきた障害者たちの親の切実で切ない気持ちはまったく忖度されない内容の答申であった。答申の「はじめに」で「(中間答申に)寄せられたパブリックコメントは624件におよび・・・本審議会としては・・・加入者の切実な要望、様々な意見を重く受け止め、さらに審議を行い、最終答申をとりまとめた」とある。パブリックコメントの締切り以降開催された審議会は2回、時間にして2時間に満たない。これを「重く受け止め、さらに審議を行い」答申をとりまとめたと言う行政とは一体、誰のための公僕か。

会長を除く委員の発言のない無言の審議会である。「諮問」とは、都が諮問し、都自らが答申を作成・説明し、とりまとめ、納税者や利害関係者に対する偽りの客観性・公平性を担保する舞台装置なのだと、傍聴していてあらためて感じた。もうこうした形式的審議会のあり方は廃止すべきであり、事務局が準備にかけた時間は障害者の将来の経済不安の解消策の立案に割かれるべきであると強く感じた。