あの伝説のフレンチレストラン「半文居(はんぶんこ)」、八丁堀に降臨!!(2022.9.9)
中央区築地6-8-8 1F
03-3543-2828
数年前、銀座三丁目の裏筋に“半文居”はあった。
長谷川圭オーナーシェフのクリエーターとしての腕が冴えわたった創作フレンチの料理の数々に舌鼓どころか、舌太鼓を打った人たちもさぞかし多かったことと思う。
いまや伝説となった“半文居(はんぶんこ)”が数年間の熟成の時を経て、美しい奥さまを伴ない、処を変え、築地へと舞い降りた。日比谷線築地駅の1番・2番出口からわずか4、5分の距離である。
われわれ夫婦は、忙しいに決まっている開店当日(8/29)にご迷惑も顧みず、何事も一番槍こそ食いしん坊冥利につきるのだとの、“ふたり”よがりの意気込みのみで、ここ“半文居”へと馳せ参じた。お店の前には開店を祝う生花がならんでいた。
そのため一見して、新生・半文居のロゴが隠れていたが、これからは、スッキリした店の外壁に淡い橙色の灯りにほのかに浮かびあがる“半文居”のロゴが、道行く人々にお二人の温かな心映えを贈りつづけてゆくことになるのだろう。
店内は以前の半文居より心持ち広くなったのか、ゆったりとした空気感を覚える。
入ってすぐ左手が二人と四人のテーブル席である。テーブルを合わせると六名の席が用意でき、お客の使い勝手がよくなっている。
そして、まっすぐ奥、おしゃれに床上げをして、左手厨房に沿い五人席のカウンターとなっている。当日、われわれ夫婦はこのカウンターの奥に陣取った。
開店のお祝いを述べて、しばし店内を探索。そして、いよいよ、“legend of cuisine”のスタートである。
最初にお店からサーブされたシャンパンで開店を祝す。
そして前菜・スープが供されたが、一本の角材の上にのせられてあらわれた。この木材は一枚板で造られたカウンターの端材を活用したもので、なかなかに風流である。
真ん中の小籠包のようなお饅頭もどきは、中に具材として刻みサラミを入れ込んだもので、一風変わって面白い。
次が、わたしがその彩りから勝手に名づけた“お花畑”という野菜の盛合せである。
ミニ大根かと思えば、これが人参なのだと・・・。
ままごと遊びのようで、童心に帰ったひと時であった。圭シェフの新たな食材に対する旺盛かつ幼児のような純な感性が楽しめる秀作である。
お酒はもちろんワインからラム酒まで、過不足なく揃っている。
ワインについて今後、その充実度を深めてゆくと、新米奥さまが申しておったので、これまた楽しみである。
当日の魚料理は胡麻を焼き付けたイサキのソテー。胡麻の風味が白身魚の淡白さにほどよいアクセントを加えている。これもひと手間が料理の奥ゆきを増している。
そして、いよいよ当夜の逸品。フランス産の仔牛・シャロレ(言いにくい名前ですが、確か、これで正しかったかと・・・)。そのシャロレはまさに絶品でした。
シャロレというお肉は初めての出逢いであったが、この肌理細かさは、和牛のフィレ肉より明らかに目のつんだしっとりとした肉肌でひと目で上物とわかる代物であった。
その仔牛のやわらかさと旨味を引き立てるために、じっくりじっくり45分もの時間をかけて焼いたのだそうだ。
調理の時間でその旨味は倍加、いや、乗数倍させたようなひと品で、圭シェフの食材選びに対するこだわり、食材の旨さを引き出す調理への執着を久しぶりに思い出させてくれた一品であった。
食後のデザートも三品。家内はこれにも大満足。
オイシイ!オイシイ!の連発の夜でした。
わたしは食後にこだわりのラム酒のロックをいただき、これまた大満足。
“半文居”の新たな伝説があゆみはじめた夜。その場、その時に居合わせた幸せを感じながら、次々と訪れるお客の邪魔にならぬようにお店を後にしたのです。