「草の根を断つの?東京マラソン」

 

 今年で40年目を迎えた「第41回青梅マラソン」が24日の日曜日に開催された。参加人数は約16000人と伝えられた。1967年にわずか492名の参加者で始まった草の根大会が、いまや毎回13000人から16000人の出走者を誇る市民マラソンのルーツと言われるマラソン大会にまで成長した。

 

この伝統ある青梅マラソンの開催日は例年2月の第三日曜日と決まっていた。しかし、今年は第一日曜日に前倒しの開催となった。この原因は石原東京都知事の肝煎りで決まった「東京マラソン」と開催予定日が重なり、やむなく当初予定の18日から4日へ繰り上げられたものである。昨年126日に青梅マラソンの主催者側は対応策を協議し、「交通規制や大会役員の人手不足の恐れがあるため『東京』との同日開催は無理」との理由で、同日開催を断念した経緯がある。そのとき竹内俊夫青梅市長が「日程変更はやむを得ない。共存共栄を目指す」と健気にも語ったことが今も強く印象に残っている。さぞ無念であったろう、その胸中やいかにと察したものである。

 

 その因縁の東京マラソンがこれまでの東京国際マラソンと東京シティロードレースの二つを一本化、東京を世界にアピールする目的を兼ねた市民参加型の大会としていよいよこの18日に号砲を鳴らす。

 

 今回の青梅マラソンの主催は青梅市・東京陸上競技協会・青梅陸上競技協会・報知新聞の4者、後援は日本陸連・青梅市教育委員会・青梅市体育協会・奥多摩町・読売新聞・日本テレビ放送網の6者、協賛は東京コカ・コーラボトリング、キャノン、損保ジャパン、青梅信用金庫、佐川急便の5者となっており、その顔ぶれも青梅の地域色豊かな手作りイベントの野趣が感じられる。40年前に町おこしとして細々と始まった青梅マラソンの素朴な精神がいまにも引き継がれているのが良く分かる。まさに手作りの市民マラソンの歴史そのものである。

 

 一方、東京マラソンはHP上ではまだ?予定と掲示されているが、主催は日本陸連・東京都の2者、共催としてフジテレビジョン・産経新聞社・読売新聞社・日本テレビ放送網・東京新聞の5者、後援は文部科学省、国土交通省、特別区長会、(財)日本体育協会、(財)日本オリンピック委員会、(財)日本障害者スポーツ協会、(社)日本経済団体連合会、(社)経済同友会、日本財団等20団体を優に超える錚々たる顔ぶれである。協賛に至っては、トヨタ自動車、セイコー、セブン−イレブン・ジャパン等世界的な大イベントと見まがうような豪華なメンバーが顔を連ねる。さらに16日、17日の両日にわたり「東京マラソンEXPO2007」と銘打った出走受付や公式グッズの展示即売などを兼ねたオープニングセレモニーが東京ドームで盛大に催された。セレモニー初日には大会会長の石原慎太郎都知事が「今大会が日本のスポーツ界に新たな伝統を作ることを願っている」と挨拶した。さぞ得意満面な表情であったろうことは想像に難くない。

 

 こうして両大会を比べて見ると、同じ市民マラソンでありながら何か今の世相を見事に切り取っているように思えてならないのである。一生懸命に地道に40年間、額に汗して努力してきていたのに、金と力を持った無頼漢が突然現れ、一夜にしてその果実や声望を根こそぎ強奪されてしまう。これまでの汗と努力はいったい何だったのか、人の心は移ろいやすいもの。これから確実に両者の格差は広がってゆくのだろう・・・。

 

 そして今年の青梅マラソンのスターターは、誰あろう石原東京都知事その人であった。都知事選を前にして青梅市民を敵に回すのを恐れたのか、それとも力ずくで割り込んだことに何がしかの後ろめたさでも覚えたのか、その理由はご当人にしか分からぬことである。