平成21年中における自殺者32,845人の自殺の概要(2010.5.15)
平成21年度も11月で自殺者が30181名に、12年連続で3万人超え―― 1
自殺者数の推移を見ると、戦後、1万人台で推移してきたが、岩戸景気が始まったまさに昭和33年、その年だけ2万人台を突破している。逆に言うと景気のまさにどん底からの反転が見えずに自ら命を絶った人が多かったのかも知れぬ。
そして次に2万人を超えたのが、昭和52年である。その年までに19年の間隔があるが、高度成長期がその間にちょうどはさまっており、昭和52年は、オイルショックから立ち上がり、劇的な経済構造の転換が見えてきた年でもある。
史上最高の自殺者数を記録した平成15年は小泉内閣時代の市場原理主義が徹底されていった時代であり、前年度のジニ係数が0.4983と危険水域の0.5に届くほどの格差が急速につき始めたときである。
そして自殺者数が3万人を超える1年前の平成9年から平成20年までの原因・動機別自殺者数の推移を見ると、政治の無策ぶりによって尊い命が失われていることが、より鮮明となる。
自殺の原因の一番は常に健康問題であった。そして2番目が経済・生活問題である。平成9年の健康問題による自殺者数は13,659人で平成20年には1.1倍の15,153人と10%の上昇である。それに対し、経済・生活問題による自殺者数 は平成9年の3,556人から平成20年 7,404人と2.1倍へと急増している。残念ながら、政治の責任であると言わざるを得ない数字である。
平成20年の原因が特定される自殺者数23,490人のうち31.5%の人が生活を苦にした自殺なのである。この10年間の自殺者増7,858人のうち49%が経済・生活問題を苦にし自ら命を絶つという痛ましい結果となっているのである。
そして、今年もこの年末に向けた鳩山内閣の経済無策により、自殺者数は最悪年の2003年に迫るのかも知れぬとの予想すら出ている。この国は一体、どうなって行くのか、海図なき航海が始まって、本当に国民は自らの命を自らが必死に守ることに専念するしかない時代に生きているのかも知れない。
WHOから直近の各国別の自殺死亡率(10万人当り自殺者数)が発表されているが、そのなかで日本は不名誉ながら6位(07年:24.4)という高位にある。上位4位まではすべて旧ソビエト連邦に属していた国々である【1位ベラルーシ(自殺率35.1)・2位リトアニア(30.4)・3位ロシア(30.1)・4位カザフスタン(26.9)】。また5位はベルギー(自殺率26.0)である。
OECD加盟国のなかでは日本はハンガリーに次いで2位となっている。
国際比較における日本の現状については次稿に譲る。