洲さき(宗和流懐石料理)−−飛騨高山 創業寛政六年(1794年)

−−−グルメ飛騨高山 (★★★★★)

〒506-0821岐阜県高山市神明町四丁目十四番地
TEL0577−32−0023

 

 

飛騨高山洲さき

洲さき お部屋床の間

洲さき お部屋から

 

 

 

 

 寛政年間の創業から200年を超える老舗中の老舗料亭「洲さき」は、司馬遼太郎氏の「街道を行くー飛騨紀行」にも描かれているように高山の古い町並み(上三之町)を抜けた朱塗りの中橋の脇にある。

暖簾をくぐり太い梁のある土間に入ると、女将が出迎えていてくれる。そのみやびな物腰と挨拶の言葉に遠い江戸の時代のゆったりとした時の流れのなかに心も体も自然ととけこんでゆくような感じを受けるから不思議だ。

明るい路地から一挙に薄暗い空間へ入り込むという意図せざる演出が、時間を超えた小世界を体感させるのに見事なまでの効果を発揮する。目の端に囲炉裏がきられた小さな畳敷きが入る。火のない囲炉裏が逆にひんやりとした空気をただよわせており、見事である。

 通されたお座敷は一階にあった。簡素な床の間のたたずまいに茶道宗和流の始祖金森宗和公の粋をみるようである。また開放的な座敷の縁側には水ガラスのはめられた引き戸がある。当世、ガラス越しに見えるすこしゆがんだ枯山水の庭は絶品といわざるをえない。

 料理がゆったりとした手順で運ばれてくる。お膳は当地の春慶塗りである。あめ色の膳の上に渋草焼きの器に盛られた彩りもおくゆかしい料理がならぶ。その味付けは小京都といわれるにふさわしいうす味である。

洲さき 料理2

洲さき 料理1

洲さき 料理3

 

 

 

 

川魚の「あまご」の塩焼きは骨も柔らく、頭から尻尾まで見事に食べつくす。したがって写真がない。お酒は「飛騨自慢」、常温でいただき当方、ご満悦。

 ゆったりとした二時間余の午餐はまた一度、訪ねてみる価値の十分あるものであった。今度は「宗和流本膳崩し」の本格的懐石を晩餐にいただきたいと考えている。匠の国、飛騨は工芸品だけではなく料理にも匠の技が伝承されていることをはじめて知った春の一日であった。

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飛騨高山―匠の里 (別冊太陽)