東山区大和大路通四条下る小松町591
「半夏生」の御朱印
今年の半夏生は7月2日である。
「半夏生」は「はんげしょう」と読み下し、俳句の季語でもある。
「半夏生」はかつて夏至から数えて11日目の日をいい24節気以外の「雑節」のひとつであるが、現在は太陽の黄経が100度となる日をいう。したがって2011年の夏至が6月22日であったものの、10日目の7月2日が今年は「半夏生」ということになる。そして古来、半夏生の日までに田植えを済ませ、以降の田植えは収穫を減らすとされていた。また半夏生の日には天から毒気が降ってくるため、井戸に蓋をしろとか、地に毒気が含まれるため筍や蕨、野菜を食べてはならぬ、種を撒いてもならぬ等々、禁忌があるという。
三重県の熊野や志摩地方にはこの日に「ハンゲ」という妖怪が徘徊するとの言い伝えが残されているなど、「半夏生」という言葉にはどこか妖しげで不気味な語感がある。
その「半夏生」を謳う寺院があったので、今回、訪ねて見た。
半夏生の葉が白くお化粧したようになってゆく
私はそこで初めて半夏生という植物を知り、家内は半夏生という俳句の季語があり、72節気のひとつであることを知ったのである。
葉先に向かって白くなる、ねじれて垂れているのが花だがまだ咲いていない
両足院の書院前庭の池辺には約600株の半夏生が群生し、わが国でもこれほどの数の半夏生が見られるのはここだけだという。当日は梅雨時とあって小雨が降り出したが、この雨だれに毒気が含まれているのだろうかなどと考えながら、半夏生の生い茂る庭を巡った。
そして、茶室「臨池亭」でお薄をいただきながら、池面に落ちる雨音に耳を傾け、池を縁取るように植わる白く粉をふいたような葉を持つ半夏生を愛でた。
お茶受けの菓子の豆餡の緑と白い皮がまるで半夏生のようにも見え、細かな雨が降る日のおだやかで心落ち着くひと時であった。