末げん(鳥割烹)・・・新橋グルメ編
三島由紀夫決起前夜の場所
【 美の(よしの) 新橋グルメ 2 】
★★★★
新橋駅入り口 新橋SL広場 SL全景
末げんはJR新橋駅のSL広場から徒歩1分の至近にある鳥料理の老舗である。創業は明治42年(1909年)と、来年で百周年を迎える老舗中の老舗である。末げんの象徴でもあった間口9間の黒塀の旧店は平成9年に取り壊され、今のビルに建てかわり、玄関の一部に残された黒塀がかつての新橋の風情の残り香を伝えてくれる。
SLを正面から 末げんのビルを望む 途中の烏森神社
SL広場を背に横断歩道を渡り、左手に向かうとすぐ末げんの入るビルがある。途中、右手に小さな路地があるが、そこに有名な烏森神社がある。平将門の乱(940年)の折、その乱を征圧した藤原秀郷が戦勝祈願のお礼に創建したと伝えられる平安時代からの由緒ある神社である。
末げんの暖簾 今に残る黒塀 大正11年の末げん写真
末げんには個室が4室あり、ゆっくりとその鳥料理と談笑が楽しめる。末げんと云えば、三島由紀夫が1970年の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で決起する前日に楯の会のメンバー5人と最後の晩餐を行なったところとして有名である。ある意味、昭和の歴史の一ページともいえる場所である。
夜の料理は当店自慢の鳥鍋「わ」のコース(8400円から)以外に、通常の簡易懐石料理、8,400円、10,500円、13,500円、15,750円の4種類が用意されている。
先付け 先付け お造り
スープもあっさり鳥鍋 焼き鳥 お勧め鳥メンチカツ
稲庭うどん デザート 個室の隅に鶏の置物
先付けはわたしには少々、味がきつかったが、これが江戸の味とも云える。六代目菊五郎が贔屓にしたという末げんの味は江戸の味だったのであろう。先付けのあとのお造りと鳥鍋はぎゃくにあっさりとしていて、その取り合わせに料理の妙があるのだろう。焼き鳥は当然だが肉もやわらかく美味であった。この夜、一番のお勧めは、鳥メンチカツ(わたしの命名)である。そのジューシーだがあっさり感のある味は格別であった。これはぜひ一度、お試しになったらよい。
春の宵に名優菊五郎を想い、三島由紀夫の決起を想い、昭和が遠くなったことをしみじみと感じたものである。
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