佐渡市両津夷136(両津港前) ☎ 0259-27-5610
佐渡へお昼時に到着。
まずは腹ごしらえと寄ったのが、予て狙い定めていた“すしの魚秀”。
佐渡汽船の両津港乗場の真ん前の小さなビルにあるので、非常にわかりやすいお店である。
“毎朝直接地元の魚市場で水揚げされた鮮魚をセリ落として仕入れている”との謳い文句に魅かれての来店である。店はビルの一階。
店内は、カウンター席に5人ほど。
入れ込みの小上りに座卓が4つだったかで合計26席という鮨屋である。
カウンターに坐って、家内は本日のお薦め握りを注文。
わたしは好きなものを適宜、頼むことにした。
二人が食べ終わってみると、何のことはないメインのものはほとんど一緒のもので、謳い文句にあるように、今朝、水揚げされた地物であったということ。
なかでも特筆すべきものが、まず当店のウリとなっている“イカのワタ入り”。
腸(はらわた)をワサビ代わりに入れ込んだもので、ワタの苦みとイカの甘みが海鮮の旨味を引き立たせ、漁港の鮨屋ならではのまさに逸品であった。
次に大振りのトビウオも珍しく、これまた推奨ものである。
ばい貝もコリッとしながら歯切れもよく、美味しい。
それから、当日の極め付きが“ノドグロ”の握りである。新潟の高級魚、ノドグロが握りで食べられる。
目の前に差し出された一貫は、少し炙りをいれたノドグロは脂が適度に落ち、皮の香ばしさも加わり美味である。新潟佐渡でしか食せぬ、これぞ“すしの魚秀”の面目躍如たる握りであった。
最後に自家製の“玉”を紹介しておかねばならぬ。最近の鮨屋の大概は手間がかかる玉は、専門店からの仕入れに頼る先が多いが、魚秀のショーケースの上に鎮座するものは見るからに正真正銘の自家ものである。
甘過ぎず塩辛過ぎず、昔懐かしい素朴で温かみのある味であった。
お店の佇まいは粋などと格好つけるようなものではない、正真正銘の田舎の店である。
そして店主の北浩史さんは口数は少ないし、客あしらいが上手とはあまり思えぬ純朴な人柄。
しかし、その分というのも変だが、ネタの目利きや素材の生かし方には創意工夫が見られ、職人はやはりこうでなければと思わせる人物である。
佐渡を訪ねる機会があったら、両津港前の“すしの魚秀”に立ち寄って、ちょっと不愛想だが本当は好人物の北さんが握る佐渡の旬の鮨をぜひ抓(つま)んでいただきたい。
佐渡の旅は“魚秀”の地の魚の味から始まる・・・食いしん坊を自認する人はトライする価値は十分にあると考える。
ただ、フェリーだと特に大人数の観光客が一斉に下船して来る。
加えて両津港近くでの食事処は多くないので、小さなお店はすぐにいっぱいになる。
そこで、お昼時や夕食時時に船が着く際には、事前に電話で予約を入れておいた方が無難であることは申し添えておく。