野球特待生問題があぶり出す学校制度の矛盾と責められるべき対象(2007.3.31)
清峰高校の教えてくれたもの(2006.4.6)
春の選抜高校野球で長崎県代表校として春夏あわせた大会で初めての優勝を果たした清峰高校は歴(れっき)とした公立高校である。
そして吉田洸二監督は 長崎県内からしか子供をとらないという「地元」にこだわるチーム造りで一貫して指導してきた。だから野球部員は地元である北松浦郡佐々町の子供を中心に、その近隣から入ってきた県内の生徒である。
ちなみに優勝投手である今村猛(たける)君のご実家(父・和彦氏)も九十九島漁協(佐世保市小佐々町・島内文夫組合長)の組合員で「今村水産」(北松浦郡小佐々町矢岳免130−26)を経営、平成14年の水産製品品評会の「煮干類部門」で「長崎県信用漁業協同組合連合会長賞」を受賞しておられる。まさに甲子園の優勝投手は、清峰高校の地元で生まれ育った生粋の長崎っ子、いや北松(ほくしょう)の地元っ子である。【清峰高校は平成15年に校名変更をしている(旧校名は「県立北松南(ほくしょうみなみ)高校」】
さらに吉田洸二監督(39歳)も佐世保市出身で、地元の佐世保商業高校を卒業されており、まさに原産地証明付きの優勝劇であったとも言える。
今回の長崎県立清峰高校の甲子園での優勝は、2007年夏の佐賀県立佐賀北高校の優勝に続く公立高校の復権であり、野球特待生問題で揺れた学生野球のあり方に一石を投じたものである。野球部員の不祥事と言っては杓子定規な処分勧告を続け、お役所と化した高野連が万言を費やしても国民の胸にすとんと落ちぬ「アマチュアリズム」「学生野球の本分」を、九州の二つの県立高校の生徒たちが全国制覇という偉業を果たすことで、われわれに分らせてくれた。
ひと言で言えば「さわやか」である。「清新」である。
無欲の「若さ」が与える感動ほど、胸に訴えかけるものはないことをあらためて思い知らされた気がする。
そして郷里の子供たちが真っ黒の顔にキラキラと目を輝かせ、紫紺(春)と深紅(夏)の優勝旗を目指し方言丸出しで頑張っている。その飾らぬ無心のひたむきな姿を目にして、大人たちはかつてがむしゃらに夢を目指したことのあった自分を思い出し、ほんのちょっとぐいっと顔を上げて何かしらの勇気をもらうのである。
それは金に飽かして全国から実力選手を搔き集めて成し遂げる全国制覇の光景からは、決して受けとることの出来ぬ「勇気」である。
ありがとう、清峰高校の選手たち、そして吉田監督。勇気をくれてほんとうにありがとう!!