京都市中京区寺町通三條下ル櫻之町405
電話:075-221-0003
三嶋亭は、明治六年、初代・三嶌兼吉とその妻ていが寺町通三条角に牛鍋屋として創業したものである。今年(2006年)で133年の歳月が経ったことになる。寺町三条の角に建つ店は、街頭に向かって牛肉のショーケースが置かれ、その左脇に小さなのれんの掛かった入り口がある。下足番とおぼしき男衆が出迎える。いかにも百年を超える格式を誇る店造りで、老舗の風格が漂っていた。
わたしたちは、三階の個室へと案内された。その日は娘の友人二人を含め家内と五人の会席であった。こじんまりとした部屋で、障子越しに寺町通のざわめきが聴こえてくるのも、一興である。料理はすき焼きの特々選コースを予約していた。ひとり三枚充ての霜降りの大きな牛肉が大皿に五人分盛られてくる様子は、壮観である。そして、付き出しは牛肉のそぼろである。
仲居さんが鍋に砂糖をまぶし、九条ねぎ、玉ねぎ、しらたき、豆腐、お麩が入れられ、割り下が加えられると、いよいよ京都の夏の夜を飾る、すき焼きパーティーのスタートである。さすがに霜降り肉の味は秀逸で、美味いのひと言。脇役といっては何だが、九条ねぎやお麩や豆腐も京都の味覚であり、申し分ない。若い人たちがいたので、お肉はさらに一枚づつ追加した。六時半の予約で九時半過ぎまで長居をしたため、最後は追い出しをくらう形で、かなり興ざめではあったが、それ以外は、おいしいすき焼きに楽しい会話と、京都の夜を十分に堪能させてもらった。
部屋を出ると、本当にお客はほとんど退散しており、ちょっと格好が悪かったかな。でも、お店のHPでは、ラストオーダーが九時、閉店十時となっており、お席と料理は二時間とも書いていない。もし、そうであれば「そのように前もって言ってもらえればよかったな」と、若い娘たちと寺町通をそぞろ歩きしながら語り合ったものだ。でも、それはそれで十分に楽しい夜であった。最初は星四つと考えたが、急(せ)かされ、追い出されるようにして店を出たことを思い出すと、やはり老舗のある種の臭みが匂うようで、居心地と云う面、サービス業の本質と云う面から★三つにさせていただいた。
メニュー
・ すき焼き、水だき、みぞれ鍋の3種類
・ 各々に三嶋亭コース・特々選コース・特選コースがある
・ 三嶋亭コース:9500円(税サービス込み10,973円)
・ 特々選コース:8500円(税サービス込み 9,818円)
・ 特選コース:7500円(税サービス込み 8,663円)