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東山区東大路通四条上ル祇園町北側300 ムーンビューティー祇園ビル3F
☎ 075−525−8211
午後5時から営業 定休日水曜日
9月の下旬、八坂神社西楼門のすぐ脇にある京料理・”かじ正”を訪れた。
東大路通りを挟んで祇園花月会館の斜め前に位置するムーンビューティー祇園ビルという小さなビルの三階に”かじ正”はある。
“かじ正”は、カウンター7席、小上り座敷6人のこじんまりしたお店である。
ご主人である梶原孝徳氏は、京の老舗仕出し料理店(天保元年(1830)創業)・“菱岩(ひしいわ)”で10年間、修業をされていたという。
そして、梶原氏と奥様のお二人で切り盛りする家族的雰囲気のする温かなお店である。
このお店を知った契機は、ここで時折、修業をする篠宮氏の誘いであった。
同氏は京料理かねき(流山市流山5丁目19−4)の支店、西麻布の“かねき”(2013年8月閉店)の料理長をしていたが、かねてよりここに来てはいろいろと修業を重ねているという。
今回はちょうどひと月ほど“かじ正”にいるので、ついでがあったら訪ねてもらいたいと電話があった。
そこで、家内の実家・四国の高松へ向かう途中、京都に一泊だけの途中下車にて、かじ正に伺った。
ひと晩は篠宮さんが木屋町の“割烹やました”へ一度は行ってみたいというので案内をした都合で、“かじ正”はその翌日の17:00の開店と同時に入店、午後9時半の岡山行き新幹線に間に合うようにと少々、駆け足の訪問であった。
その為、私流のカウンター越しの会話の合間にトロトロと料理や日本酒を口へ運ぶというわけにもいかず、かなり失礼を”かじ正”にはしてしまった。次回は家内同伴のうえゆっくりと腰を落ち着けて“かじ正”を食べ尽すつもりである。
さて、そんな事情のなかでの当日の料理はおまかせであった。
後日、メニューを篠宮さんからメールで送っていただいたので、これを写真とともに次に記す。
八寸 このわた大根・合鴨ロース・蛸軟煮・落花生・銀杏コロッケ
造り かつお・鯛・鱧焼霜
焼物 子持ち鮎塩焼き
造り 鱧落とし(暖)
焼物 焼き胡麻豆腐
炊き合わせ 鰊(にしん)茄子
さすが“菱岩”に長年、おられただけあり、食材の吟味、味つけ、気の利いた目先をちょっと変えた料理、ともに及第点である。
お造りが二点になっているのは、梶原さんと鱧談義になり、梶原さんのいう美味しい鱧調理の一品をいただいたものである。
わたしが鱧の湯引きの梅肉付けがどうも苦手で鱧は炙りが大好きだと言ったところ、「鱧落としの温かいのも自分は好きだ」と言われたので、急遽、料理していただいたわけである。
なるほど、身はプリンとしたまま上品な味つけの汁仕上げの一品であった。
時間の都合で、御料理も中途でお仕舞としてしまったが、こうして写真を選んでいるともう一泊してゆっくりと”かじ正”の夜を愉しむべきであったといま後悔しきりである。
こうした”かじ正”、どちらかといえばくっきりとした味付けは京料理の苦手な東京人にも受け入れやすいのではないかと感じたところである。また、自分の好み、我が儘も訊いていただけるようなそんな親しみ易さを感じさせたお店である。
また一店、訪ねたいお店ができてこれからの京都への旅の楽しみがふえたひと夜であった。
加えて、新幹線の乗車時刻が迫るなか、話題があの”とりどり最中”の”甘泉堂”(かじ正から至近)に及び、食いしん坊のこのワタシ、「まだ水羊羹はあるのだろうか、食べてみたいな」と、口走った。
すると奥様は即座に甘泉堂さんへ「今から大丈夫ですか」と電話で確認を取ってくださり、梶原さんが走って買ってきてくださるというご夫婦の連携プレイ。
とんでもない自儘、不躾をお許しいただいた。
何せ、甘泉堂の水羊羹は季節限定のレアものである。当日、遅くに高松へ到着、夜食に早速、この甘泉堂の水羊羹をいただいた。梶原さん、ありがとうございました!!
こうした出来の悪いお客の勝手にまでご配慮というか心遣いをいただき、本当に、この”かじ正”、これから大切にしていきたいハートフルで人情味熱い不思議な京料理のお店である。
次回、じっくり伺った際に再度、詳しい”かじ正”のご案内をブログにアップすることにしたい。