住所:京都市下京区新町通 仏光寺下ル岩戸山町416
電話:075-352-0001
木乃婦入口
NHKのBSハイビジョンで三代目の高橋拓児氏が造るワインに合うという創作料理を観た。そこで俄然興味がわいたわたしは、ぜひ「木乃婦(きのぶ)」を訪ねて見たいと旅仲間に推薦し、この日を迎えた。そこで当店について記すにあたって最初に断らねばならぬことがある。
予約を人任せにした結果、お目当ての「ワイン献立」でない、通常の「旬の会席」を当夜は食すことに相成った。つまり、BSでわたしが興味を持った「ワイン献立」をこのブログでご紹介できぬことと相成った次第である。三代目のチャレンジングな料理を口にすることができなかったことは、まことに残念であった(一部はありましたが・・)。
そこでここでは「木乃婦」というお店を簡単にご紹介することとする。
事前に木乃婦のHPを開き、詳しく調査し予約を取れば、実はこんな失敗はしなかったのであるが、これまでご紹介した京割烹「やました」や「祇園たに本」のイメージで「木乃婦」を手前勝手にとらえていたのである。同行者に謝罪しなければならぬ。
井筒の間
ここはそもそも御茶屋さんに対する仕出し料理のお店であったものが、料亭となったと聞いている。そのため大量調理が得意なのか、100名収容の披露宴などに利用できる大広間を有するなど大小13室の個室のみのお店である。また料亭といいながらその大広間での宴会ではカラオケもできるとか(もちろん料亭でカラオケのできるところはいくつもあるのはあるが・・・)。ちなみにわれわれ四名は「井筒の間」という堀炬燵の部屋で、八人はゆうに座れるほどの広い部屋であった。
絨毯に木乃婦の紋
つまり板前さんたちとカウンター越しの会話を楽しみながら料理を楽しむといった風情の割烹の店ではなく、いわゆる大店(おおだな)である。三代目はおろか板前さんの顔も見えない、何とも旅人には退屈なお店であるということである(お部屋に女将が挨拶にお見えにはなったのは、一流の格式であることは間違いない)。「木乃婦」さんの名誉のために申し上げれば、お料理は値段が値段だけにそれなりに食材もしっかりしており、もちろん問題はなく、と云うより、とてもおいしい。
ただ名物といわれる「胡麻豆腐とふかひれの鍋」(三代目の創作と言われる料理)は、わざわざ京都まで来た旅人が食べるほどのものかなと感じたところはあった。ほかはりっぱな器にきれいに盛りつけられたいわゆる料亭料理であった。
「ワイン献立」のために再チャレンジするか否か、今の自分は微妙な気分である。とくに夫婦二人で京都にやって来て、わざわざ「木乃婦」へと気分が向くかと言えば、それならもっと小振りのお店が良いとわたしは判断するのだろう。しばらく再訪は様子見というところか。ただ、これはまさに人それぞれ、旅の目的によっても異なってくるものであることは言うまでもない。→このときから2年半経って見て、このブログを読み直してみて、「ワイン献立」はやはり、一度はいただいてみたいと思うようになっている。旅人の心も・・・、「何とかと秋の空」ということなのだろうか・・・。
店を立つのに際し、店の前で二代目の高橋信昭氏と女将お二人にわざわざお見送りをいただいたのに、(新幹線の時刻が迫っていたので)ゆっくりとご挨拶もせずにタクシーに乗り込んでしまったのは、ずいぶんと無礼をしてしまったといまになって反省しているところである。