2の5 修学院離宮--中御茶屋(中離宮)の楽只軒(らくしけん)
【楽只軒(らくしけん)】
中御茶屋の大きな表門(下の写真)を入り、中門を抜けるとまず楽只軒を拝観する。
中御茶屋表門
楽只軒は1668年に朱宮(あけのみや)第八皇女光子内親王のために造営された朱宮御所の最初の建築物である。
御所といっても一の間と二の間から簡素な建物である。瓦葺の裳裾をつけた�達(こけら)葺き屋根という少々、変わった屋根をいただく建築物である。
扁額の周囲やその奥に見える壁に残された煤跡はかつてここで護摩を焚き病気平癒を祈祷した際に、真黒になっていたものを近時、煤落しを行なって、ようやく当初の壁の色まで戻したという。
手前が一の間・奥が二の間(龍田川の紅葉の襖絵)
室内もいたって簡素だが、そこは女性らしく6畳の一の間には狩野探信(探幽の子)の手になる淡い吉野山の桜が床の間に、二の間には龍田川の紅葉が襖絵に描かれ、寂寥とした室内にほのかな王朝時代の芳(かぐわ)しさをかもし出してもいる。
一の間と二の間の間に「楽只軒の扁額」
「一の間」吉野山の桜が床の間と襖絵に
南面して低い広縁をとり、前面に池を配した庭が広がっている。
【2−6客殿につづく】