彦左の正眼!

世の中、すっきり一刀両断!で始めたこのブログ・・・・、でも・・・ 世の中、やってられねぇときには、うまいものでも喰うしかねぇか〜! ってぇことは・・・このブログに永田町の記事が多いときにゃあ、政治が活きている、少ねぇときは逆に語るも下らねぇ状態だってことかい? なぁ、一心太助よ!! さみしい時代になったなぁ

不二家

不二家、関テレ事件の根っこにはびこる原理主義3

 

 全日本テレビ番組製作者連盟 (ATP)が関西テレビの「あるある」捏造問題を受けて、88社の加盟会社に対し行なったアンケート結果が10日の東京新聞朝刊に載った。ATPNHKエンタープライズやテレビマンユニオン等番組の制作を放送事業者から受託する制作会社正会員72社と準会員16社からなる組織である。元加盟会社である日本テレワーク(131日退会届受理)の捏造問題の背景に考えられるものとして、委託側という強い立場にある放送局の制作予算の一方的な削減、それをクリアーするため番組制作をさらに孫請けさせざるをえないといったコスト優先の業界の構造的問題をあげる回答が目立ったという。

 

 この放送事業と番組制作会社の受委託関係について、ATP25日付けで発表した「『発掘!あるある大事典供戰如璽靭埖ぬ簑蠅亡悗垢訐写席検廚砲いて、「これまで(ATPと)各放送局とのイコール・パートナーシップを相互に確認してきました。それは番組制作の委託・受託の相互関係の中で、放送事業者と製作事業者があくまで対等の立場で視聴者の信頼を勝ち得ていくことを志すものです」と、ことさらに言及している。そのこと自体が、両者が対等な関係になく、放送事業者の視聴率競争に他動的に巻き込まれていることをいみじくも言い表していると言える。

 

 CM単価に直結する視聴率競争がますます激しさを増すなか、低コストで視聴率を稼げる効率的で刺激的な番組作りが至上命題となった下請け制作会社。番組捏造は、まさに下請けとして同業の制作会社との生き残り競争に勝ち抜くために、起こるべくして起こった事件であったことがわかる。

 

 同様に不二家の消費期限切れ原料の使用等「食品」に関するあってはならぬ事件も、外食産業の熾烈な競争や大量仕入れでコスト削減を図るGMS(大型総合スーパー)への喰い込みなど、食品メーカーが生き残っていくためには身を削るようなコスト削減が必至であった点で共通性を有す。購入側が企業合併などによりどんどん巨大化した結果、仕入れ業者に対し低価格と効率性を求めてくるのは、資本の論理では至極もっともな行為であり、批判されるべきことではない。

 

こうしたテレビと食品というまったく異なった業界でほぼ同時期に起きた事件の背景を見ると、そこにはあるひとつの寒々とした光景が広がっていることに気づく。

 

 視聴者にとってよりよい番組作りや消費者にもっと愛される食品作りよりも、スポンサーや大量仕入れ業者に選択される番組、製品作りという「モノ作り」の原点が取り違えられた殺伐とした光景である。それは自由競争のなかで経済効率性を極限まで追求すればよりよいモノやサービスが産まれ、株主の利潤も拡大するのだとする市場原理主義が創り出した景色である。

 

競争がない世界を考えれば、その地位に安住し自己改革努力が生まれず、ともすると非効率なマーケットになることも紛れのない事実である。だからこそ規制緩和や関税引き下げ等による自由競争の環境整備がさまざまな業種で進められてきた。そしてそのことで消費者やサービスの享受者たる国民が受けてきた恩恵も大きい。しかしそこにはもう一つ基本的な考え方があることも忘れてはならない。製品やサービスを提供する企業、そこに帰属する人間が決して忘れてはならぬこと。「この会社は誰のために存在するか」という問題である。

 

市場原理主義者は「企業は株主のためにある」という。企業の株主価値を最大限にあげることこそ経営者の役割であると。そして一方で、その対極に「企業はお客様のために存在する」という考え方がある。しかし、そのふたつの考え方は目的に到達する時間という軸を捨象して考えて見れば、実は同一のものであるとも言えるのである。

 

「モノ作り」の原点は商品の消費者やサービスの享受者を喜ばせることにこそある。消費者に喜ばれる「モノ」はちゃんとした購買者が贔屓にする。それは非常に時間のかかる行為であることも事実で、現在の激越な競争社会においてはなかなか受け入れにくい理念に思えるかもしれぬ。しかし、時間はかかっても岩石のひびに雨水が染み込んでいくように徐々にその企業に信頼という何物にも代え難いものが生まれ、その商品が売れ出し、会社の売り上げが伸び、利潤が上がってゆく。その結果として企業価値が上昇し、最後にはちゃんと株主の利益につながる形となっていく。この理屈は言ってみれば経済原理の正の連鎖の方程式である。

 

不二家や関西テレビの問題の起点は誰のために「モノ作り」をするのかというクリエーターとしての意識そのものであると考える。短兵急にストレートに株主のために「モノ作り」をしなくとも、終点は消費者から信頼を得ることで、株主の利潤を増加させることに違いはないのである。短兵急に最初から終点の株主利潤を目指すどこかの国のハゲタカファンドのようなやり口では、結局、大きく株主の利潤を損なうということを今回の事件はいみじくもわれわれに教え諭してくれた。

 

異なる業界で起こった事件ではあるものの、まさに「モノ作り」の原点を見失うと、こうした報いを受けることになると言うことである。低コストの追求や利潤追求という市場原理主義を徹底した結果、不二家と関西テレビが失った「信頼」という二文字はあまりにも大きかったことを両社のみでなく、モノ作りを行なう企業すべてはもう一度、認識すべきであると考える次第である。


 

不二家に続くお詫び合戦とISOの神通力

 不二家に続くお詫び合戦とISOの神通力

 

 経済産業省は、先に不二家が取得した品質・環境管理の国際規格ISOが適正に順守されていたのか審査するよう同省所管の財団法人「日本適合性認定協会」を通じ民間の認証機関に要請した。その後131日に不二家は、一般菓子を製造する平塚など3工場が既に取得している品質管理の国際規格「ISO9001」の基準を満たさず、認証機関から是正勧告を受けたことを明らかにした。さらに28日、洋菓子の埼玉工場で環境管理の「ISO14001」の登録が7日付で一時停止になったと発表した。

 

 不二家不祥事のあと、食品メーカーは賞味期限切れ原材料の使用や異物混入等の事実を続々と公表し、まるで「お詫び合戦」の様相を呈している。その食品メーカーは、はごろもフーズ、ロッテ、味の素、丸美屋食品工業、加藤産業、サントリー、コカ・コーラ、ユニリーバ・ジャパン、三井農林、おたべ、ダスキン、ニチロ(東京新聞210日付け「不二家問題発覚後の主な食品回収」のうち食品メーカー列挙)と、一流企業と言われる名前がずらりと並ぶ。そのお詫びの内容には幸い事故にはつながらなかったものの、カッターナイフの欠片やガラス片や金属片等の混入といった物騒なものもあった。またそれ以外のものでは賞味期限切れ、消費期限切れ、遺伝子組み換え米の原料混入という食品メーカーにとって品質管理の根本的な姿勢にかかわるものも散見された。

 

こうした不良品がこれだけこの時機にしかも短期間に集中して発生することは通常では考え難い。これまでもこうした事例は起こっていたと考えるのが常識的なとらえ方ではなかろうか。2000年の雪印乳業の集団中毒事件が風化しかけたこの1月、不二家不祥事が公表された。そこから食品業界に雪印乳業の悪夢が再びよみがえったとしか考えられない。

喉もと過ぎて忘れ去られていた危機管理意識が急速に高まった結果とも見れる。不良品がわずかでも出荷された場合でも即座に公表しないとどんな風評被害が出るかも知れぬと慌てふためく様がどこか情けなくもある。ただこうした企業体質の透明性は消費者にとって「食の安全」意識が高まるなかで歓迎されることではある。また今度こそ、われわれの口に毎日入る食品を扱うメーカーとしての企業倫理の定着を強く望みたいところである。

 

ところで不二家で今回、認証登録が一時停止となったISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称であるが、1946年にロンドンで「製品サービス」などの世界的な標準化を目的として設立された組織である。品質面でのマネジメントシステムがISO9000シリーズ、環境面でのマネジメントシステムがISO14000シリーズと言われる。今回の不二家が是正を求められたのは品質管理の「ISO9001」であり、登録の一次停止となったのが環境管理の「ISO14001」である。

 

最近、日本では中小企業に至るまでISOを取得したと標榜する企業が多い。商取引、就中、国際間取引ではISOの認証がなければ商売が成立しないといっても過言ではない。とくにISOの本場であるヨーロッパ市場における取引ではその認証登録は必須である。品質面や環境面の条件をクリアーした工程管理マニュアルの整備こそISO認証の条件であり、そのマニュアル通りに商品を作れば、品質面、環境面においても妥当な水準を超えたものが出てくるということを保証するのがISOの認証制度であると言える。

 

そうした制度自体は国際基準として確立されたものであり、国際間の取引が進展するなかで客観的な基準としてISO認証が使われる意味合いは大きい。

 

しかし不二家を含め何らかの不良品出荷を公表した前述のはごろもフーズ以下の食品メーカー13社のうち、ISO9001の取得企業が9社(69%)、14001の取得企業は8社(62%)を数える。そうした企業が問題を起こす、それも6〜7割の割合であるから半端ではない。ISO認証機関から品質面、環境面について工程管理上の問題はないとお墨付きをもらっている企業である。

 

そう考えるとマニュアルだけどんなにりっぱなものを作成し、備え付けたところで、物作りに従事する人間一人一人の意識が常に人の口に入る商品を作っているのだと言う緊張感や職業に対する誇りのようなものがなければ、意味がないということをこのISO認証方式はいみじくも示してくれたとも言える。今回の食品メーカーの引き続く不祥事は、分厚いマニュアルやどんな神通力よりも人間の物作りに対する真摯な意識がもっとも大切であることを改めてわれわれに教えてくれているような気がするのである。

 

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