インカ帝国展

1911年714日、米人の歴史学者ハイラム・ビンガムが天空都市マチュピチュを発見してから100年目を記念して、現在、上野の国立科学博物館で624日まで、マチュピチュ「発見」100年“インカ帝国展”が開催されている。 

世界遺産マチュピチュ
世界遺産マチュピチュ(館内撮影可のコーナーに飾られた写真)
国立科学博物館
国立科学博物館

1438年にパチャクテクの即位により南米アンデスの高地に興ったインカ帝国は、1533年にスペイン人コンキスタドールによって滅ぼされるまでの約100年間で、南北4千kmに広がる大帝国を築いた。

クエラップ要塞への入口
15世紀末にインカに征服された集団チャチャポヤのクエラップ要塞への入口(撮影可コーナーの写真)
金合金製の小型人物像
金合金製の男女像(同館販売絵葉書より)

太陽神を崇拝し、金や銀、錫、銅といった鉱物資源を豊富に有し、金属精錬技術に長けた絢爛たるインカ文明であったが、世界が鉄器文明と呼ばれる歴史を重ねていた16世紀まで、鉄器を知ることなくまた火器も有することがなかった。

農業試験場であったモライ遺跡
農業試験場であったモライ遺跡(館内撮影可コーナーに飾られた写真)
アリバロ(酒器)
トウモロコシ酒を入れる土器・アリバロ(同館販売絵葉書より)

昨今の古人骨のミトコンドリアDNA分析からアメリカ先住民の祖先集団はアジアに由来し、ベーリング海峡が陸続きだった約2万年前にアメリカ大陸へ移動し、その後急速に南北アメリカ大陸へ拡散、展開していったことが分かって来た。

ロス・コンドロス沼にある墓地
ロス・コンドロス沼の山の傾斜面にある墓地(撮影可コーナーの写真)
小型女性人物像
墓に埋葬されていた小型女性人物像(館内販売絵葉書より)

われわれ日本人の祖先とも遠い遠い古代に一緒に焚火でも囲んでいたのかもしれないと想像すると、インカ文明が至極身近に感じられて来た。

マラス塩田
マラス塩田(撮影可のコーナーに飾られた写真)
玉座
玉座(同館販売絵葉書より)

それもあって、科学博物館の会場は平日にも拘わらず来館者はかなりの数であったが、じっくりとひとつひとつの展示品を見て回った。

チケット販売場に列ぶ来館者
チケット購入に列ぶ来館者
入場入口案内板
会場入口案内板
国立科学博物館入口にあるSL
このSLのところが会場入口です

何か日本文化との共通点はないだろうかなどと、にわか考古学者を気取って見たのである。

インカ最後の縄橋
インカ最後の縄橋(館内撮影可コーナーの写真)

もちろんそんな素人にビックリするような発見などあるわけもなかったが、ただわたしに流れる血がざわつき、少し泡立っているような奇妙な親近感のようなものを感じ取ったのは事実である。


最後のマチュピチュコーナーでは、コンドルとなって標高2430mの天空都市マチュピチュを俯瞰したり、“太陽の神殿”や“コンドルの神殿”などを歩き廻っているような感覚を覚える12分間におよぶ3D上映もあった。

マチュピチュ遺跡
マチュピチュ遺跡(同館販売絵葉書より)

日本文化との共通点をあなたなら発見できるかも知れない。ぜひ、インカ帝国展へ急がれると良い。

国立科学博物館出口から
出口から見える大きなシロナガスクジラ
国立科学博物館
国立科学博物館では6月24日まで

同展は国立科学博物館での展示のあとは全国8か所で201422日まで開催される。開催スケジュールは以下の通り。


201276日〜99日 仙台市博物館

2012918日〜1114日 山梨県立考古博物館

20121127日〜2013127日 静岡県立美術館

201329日〜47日 富山県民会館美術館

2013416日〜623日 京都文化博物館

2013630日〜91日 福岡市博物館

2013910日〜1023日 鹿児島県歴史資料センター黎明館

2013119日〜201422日 沖縄県立博物館・美術館