彦左の正眼!

世の中、すっきり一刀両断!で始めたこのブログ・・・・、でも・・・ 世の中、やってられねぇときには、うまいものでも喰うしかねぇか〜! ってぇことは・・・このブログに永田町の記事が多いときにゃあ、政治が活きている、少ねぇときは逆に語るも下らねぇ状態だってことかい? なぁ、一心太助よ!! さみしい時代になったなぁ

小泉内閣5年の総括

小泉施政5年の総括――格差社会の拡大1

 小泉内閣5年の総括――格差社会の拡大

「小泉内閣5年の総括 にもどる)

 

前回抜粋した国会議事録等に目を通していただくと、小泉総理が当初「格差は拡大しているとは思わない」と言ったことは、官僚の報告を鵜呑みにした、事実を分析・透徹しようとしないいつもの独り善がりの軽い乗りの答弁であったことが分かる。所得分布の偏りを表わすジニ係数など具体的数値が示され、野党議員が追求を行なっていった結果、22日の答弁において「格差がでることが悪いとは思わない」と開き直り、「負け組みが再挑戦するチャンスのある社会が小泉改革の進む道」と、巧妙に軌道修正を図っていった経過も見て取れる。

 

答弁はいつもながら自在といおうか、傍若無人といおうかその不誠実さには適切な言葉が見つからない。前言をひるがえそうが一切、頓着しないし、政治家の言葉の重みなど無関係と空とぼけている。

 

ましてや、小泉総理という人物は一国の最高権力者の言葉の重みがどういう影響を与えるかなど、考えてみたこともないのではないか。いつものことだが、答えに窮した時には、「色々多面的に検討し、総合的に判断する」とひと言言えばよいのだから。そしてこの「総合的に判断する」という言葉が実は曲者である。小泉総理にとってこの言葉は、「その時の世論動向を見て、政治的勘で決める」と同義語であるからである。そうした空疎と言おうか、国民を愚弄したようなコメントに対し、この国のメディアは切り込もうとしない。権力をチェックすべきメディアが正常に機能しない国で、国民が闇雲に支持率を与えるということは、こうした傲慢な指導者をのさばらせることでもある。

 

さて、「格差の拡大」について検証をしよう。国会の議論のなかでしばしば語られた格差拡大の指標としての「ジニ係数」について、まず、理解しておこう。この係数を十分に国民に理解させぬまま国会審議を進めていった所に、格差議論が国民的議論への深まりを見せなかった一つの原因がある。その意味で野党の責任は重く、国会質疑のイロハ、国会論戦のイロハをもっと学んで欲しいと思う。

 

 ジニ係数の数値の水準についてこれと云う絶対的解釈・定義はないが、目安として次のような説明がなされている。

 

~0.1:平準化が仕組まれる人為的な背景がある(要は理想的な共産主義社会)

0.10.2:相当平等だが向上への努力を阻害する懸念がある(要は努力してもしなくても所得に大差がない社会で、努力へのインセンティブを欠く活力を生まない社会)

0.20.3:社会で一般にある通常の配分型

0.30.4:少し格差があるが、競争のなかでの向上に好ましい面もある

0.40.5:格差がきつい

0.5〜:特段の事情のない限り是正を要する

 

「ジニ係数」は図で説明するのが分かりやすいのだが、以下言葉で説明を試みたい。

 

横軸が世帯数の累積構成比、縦軸が所得の累積構成比で原点が0%として横100%、縦100%の正方形。(x,y)が(0,0)と(100,100)を結ぶ45度線が均等分布線(一世帯当所得が均等とした時に所得累積額を繋いだ線)である。

実際の一世帯当所得を低い方から累計した所得額を繋いだ(45度線より下に曲がった)曲線をローレンツ曲線という。起点・終結点は均等分布線と同じ(x,y)が(0,0)と(100,100)である。

 

 均等分布線(45度線)とローレンツ曲線で囲まれた面積=A

(x,y)(0,0)と(100,100)で囲んだ正三角形の面積=B

 

ジニ係数=A/B

 

ジニ係数が0(A=0、ローレンツ曲線と均等分布線が重なる)の時  は、全世帯が同所得というケース

 

ジニ係数が1(A=B)の時は、全世帯を100として99世帯が所得0、

1世帯のみに所得があるというケース

 

従って、Aの面積が広くなるほど、つまりジニ係数が高くなるほど所得の集中が大きいことを示す。いわゆる「格差」が大きいことを示している。

 

ジニ係数が0.7の時を例にとると、所得上位15%の世帯数だけで全所得の85%占めると云うことを表わしている。また、ジニ係数0.5は所得上位25%の世帯数で全所得の75%をも占めている状況となる。

 

前回、ジニ係数の推移(19812002)を示したが、1981年に0.35(健全な社会)であったものが、統計数字の直近値、2002年は0.4980.5を超えようという状況である。これまでの傾向値(増大)から見て、2006年現在は、所得の是正を必要とする0.5以上の範疇(ハンチュウ)、すなわち格差社会に確実に突入しているものと推測される。

 

まさに「格差」は無視し得ぬ水準にまで達しているといわざるを得ない。そしてこの数値はわれわれが今、実感している社会の二極分離、いや一極(一部の人)だけがそびえ立つ社会になっているとの肌感覚にぴったりと来る数値なのである。

 

もう無視し得ぬこうした「格差の拡大」を「格差が出ることが悪いとは思わない」とうそぶいた小泉総理。

 

「改革なくして成長なし」の勇ましい掛け声でスタートした小泉施政5年間でもたらされたもの、それは「弱肉強食」、いたわりの欠片もない殺伐として荒廃した社会の現出であった。あなたの周囲に目を凝らして欲しい。電車のなか、何の変哲もない街角、職場や学校そして最も温かくなければならぬ家庭・・・。人心の荒廃がここに窮まったことが、そうした日常的光景のなかに無造作に転がっていることにすぐ気づくはずである。

 

そして、この格差の拡大は一代で終わらず、良質な教育を受ける層と受けれぬ層にすでに分かれていることを通じ、「格差の再生産」というループに入りつつあると言える。階級社会の到来がすぐ目前に迫っているといえる。小泉純一郎という男は「自民党をぶっ壊す」ことをせず、もっと大きな日本という国をぶっ壊しつくして、この9月26日に総理の座を去ろうとしている。(完)

 

 

Г北瓩

 


小泉施政5年の総括――格差社会の拡大1

小泉施政5年の総括――格差社会の拡大

 

「小泉内閣5年の総括 にもどる)

 

                               ()内は西 暦     

ジニ係数  0.35(81)  0.43(90)  0.47(99)  0.49(02) 0.526(05)

非正規雇用者数(万人)1043(96) 1225(99) 1406 (02) 1663(06)

同上比率(%) 21.4(96)   24.8(99)   28.7(02)    33.2(06)

パート/一般労働者賃金比率(%)45.9(90)  43.7(95)   39.1(02)

生活保護世帯比率(%)14.0(93) 15.7(99)  18.9(02)  25.0(04)

一世帯当平均所得(万円)661(96)  626(99)  589(02)  564(05)

 

 小泉改革影の部分の代表的なものとして「格差社会の拡大」が挙げられる。上記の数字をご覧いただきたい。すべての数値が悪化傾向を示している。そして、その数値とは社会の貧困層を数値で表してみたものである。

 

 小泉内閣最後の国会となった第164回国会でも、小泉施政5年間で「富める者はより富み、貧する者はより貧していく」社会構造が定着しつつあるとの批判・質問が野党及び与党公明党よりなされた。小泉総理との間では論争といおうか、いつもの小泉流カメレオン・はぐらかし答弁により格差議論は深まりを見せないまま、店晒(タナザラ)しにされて、最後の国会は閉会となった。その虚しいやり取りの一部を、まず、総括の前段として国会議事録から転記するとともに、記者団とのやりとりも掲載する。

 

内閣府が高齢化社会と核家族化の進展により世帯当りの所得が減少したことが、ジニ係数(所得格差を示す代表的指標=次回詳述)増大の主因であるとして、我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で報告したのは1月19日である。ここで、その後の国会議事録・記者団とのやり取りを以下に記すことにする。

 

小泉総理の格差社会固定化についてどのような認識を持っていたか、真に国民の立場に立つ意思があったかが、国会答弁や記者団とのやりとりのなかから、自然と明らかになると思うからである。つまり、国民の間に格差が拡大していることなんて同氏にはほとんど関心はなく、重要な位置など占めていなかったということである。

 

 

06.1.26衆議院予算委員会)

(公明党 上田勇議員質問)

最近非常に関心が集まっております経済格差の拡大の問題について、総理にお考え方をお伺いしたい

 

(小泉内閣総理大臣答弁)

社会の格差の問題について、最近よくジニ係数という言葉が使われます。我々学生時代はエンゲル係数とかいって、家計のいわゆる食費の割合。これはもう学校でよく習ったんですけれども、我々の学生時代にはジニ係数という言葉はほとんど聞かなかった。しかし、最近よくジニ係数という言葉が出てきますね。これは、社会の中において、所得の格差がどの程度とかいろいろ統計データがあるわけですが、そういう統計データを、私、識者からよく伺ってみますと、現在、言われているほど日本社会に格差はないということであります。

 

06.1.27衆議院予算委員会)

(民主党小川淳也議員質問)

私ども民主党も、小泉改革の光と影という角度からお尋ねを代表質問以来させていただいております。公明党の神崎代表も大変いい御質問をされておられます。自民党の青木参議院議員も大変いい角度から質問をしておられます。昨日の公明党、上田委員もそうでした。格差に関して、一言で言えば心配しているわけですね。・・・この点に関して、小泉総理は、格差拡大は確認できない、そうおっしゃいました。これは、総理に何度聞いても同じでしょうから、少し相手方をかえて、谷垣財務大臣にお尋ねをしたいんですが、日本社会の格差の拡大は確認できない、大臣も同じ認識ですか。・・・内閣府が我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で準備をしたのは一月十九日。

【この小川議員の質問は総理に何度聞こうが、埒があかないと谷垣財務大臣へ質問の矛先を向けている。この件で総理の答弁はなし】

 

 

(格差問題で平成1826日朝日新聞記事)

「所得の格差が拡大74%」という国民の意識調査結果を掲載。

「格差拡大が問題であると見ている人は、(74%)そのうち7割を超えた、また格差拡大を感じる人の半数が小泉内閣の政策に関係があると答えた。

 

(格差問題に関する朝日新聞記事に対する記者団の質問に対し:220日)

小泉首相は、朝日新聞社の世論調査で格差拡大を感じる人が7割を超え、その半数が小泉首相の政策と関係があると答えた点について「結びつけるのは拙速ではないか。短絡的ではないか」と記者団に語った。首相は「格差はどの国でも、どの時代でもある。必ずしも格差があるから悪いということではない」と述べた。

 

 

06.5.17衆議院厚生労働委員会)

(民主党の園田康博質問)

総理在任中のこの五年間で、格差が生まれたということが言われましたね。総理は、最初は格差は認められない、そんなことまで言っていました。ところが、途中から分が悪くなったんでしょうか、格差が生まれることはいいことだ、そこまで言い切った。

 

(小泉内閣総理大臣答弁)

私が言っているのは、ジニ係数によって、格差が生まれているということじゃないんです。ジニ係数というものによって格差が広がっているという数字があるから専門家から聞いたら、それほど格差があるという状況じゃないという専門家からの意見を受けているということを申し上げているんです。そして、どんな時代においてもどんな国においても、格差は今までもあった、これからもあるでしょう。しかしながら、格差を固定化しないように、一度や二度失敗してもまた挑戦できるような機会を提供していかなきゃならないということを言っているんです。格差ゼロの社会はないと言っているんです。

私は、これからも格差というものを固定しないで、できるだけ多くの人がさまざまな持ち味を生かすことができるような社会をつくっていきたい。そして、日本は各国に比べても格差は低い方の社会である。今後、この格差を固定化しないように、さらに多くの人が頑張って、努力する人と努力しない人がいたとしても努力する人が報われるような社会をつくっていくべきだということを言っているわけであります。

 

 以上の諸々の発言は、小泉氏が格差の拡大を大半の国民が認め、その原因が小泉内閣の政策にあると思っていることに対し、もし、そうでないと反論するのであれば「必ずしも格差があるから悪いということではない」などと、開き直ったような詭弁を弄する必要はない。

 

「どの政策が格差を生じさせたと言っているのか」とまず問うべきであり、この政策と名指しされれば、

「その政策によって格差拡大が生じたことはない」と、断言すればよいのである。

 

┐砲弔鼎


小泉施政5年の総括―――社会不安 1

小泉施政5年の総括―――社会不安 

 

,砲發匹

 

西  暦     00     01    02     03     04     05    

内  閣    小渕・森  森・小泉  小泉    小泉   小泉    小泉   

完全失業率(%) 4.7     5.0    5.4     5.3     4.7     4.4           

企業倒産数(件)18,769           19,164        19,087         16,255          13,679         12,998             

自殺者数(人) 31,957           31,042        32,143         34,427          32,325         32,552    

犯罪件数(重要)18,281           21,530        22,294         23,971          22,568         20,388 

犯罪件数(凶悪)10,567           11,967        12,567         13,658          13,064         11,360

 

      重要犯罪:殺人・強盗・放火・強姦・略取誘拐・強制わいせつ

      凶悪犯罪:殺人・強盗・放火・強姦

 

 小泉施政5年の間に皮膚感覚として国民が感じ取ったものは、凶悪犯罪やわけの分からぬ不条理な犯罪が急激に増加していることである。

そして、経済的事由による自殺者の増加という話しも一度や二度はニュースやで耳にしているはずである。ワイドショーなどでは毎日に近く親が子を、子が親を殺害したというひと昔前であれば世を震撼させた事件が、まるで天気予報のように流れ作業のように報じられていく。人心が荒廃していくのもやむを得ぬと言うべきか。いや、人心が荒廃して行ったので、こうした残虐非道な事件が触発され、続発するのであろう。

 現に、2003年と2000年の犯罪件数を比較してみると、重要犯罪(殺人・強盗・放火・強姦・略取誘拐・強制わいせつ)、凶悪犯罪(殺人・強盗・放火・強姦)ともに3割増と急激な治安の悪化が数字で示されている。

直近の数字である2005年でも、小泉施政直前の2000年の数字を8~11%も上回った状態である。そして、自殺者の数も1996年には2.2万人であったものが、98年に3万人を超えて以来、05年まで3.23.4万人と高水準で推移している。

 

特に東証株価が4月に7,607円の最安値をつけ、企業倒産件数も前年度に1.9万件、失業率も至上2番目に高い5.3%を記録した2003年に、犯罪件数、自殺者数ともに最悪の数字に膨れ上がっていることから、景気の悪化が社会不安を煽り、それと相俟って治安を悪化させていく構図が、上記の検証から明らかとなっている。

 

小泉純一郎総理の経済無策が、結果として社会不安を惹起し、国民の数多の命をいたずらに失わしめた責任は、大きい。為政者たるもの「国民の命と財産を守る」のが、最大の使命であるはずである。その点から評価しても、小泉首相は人命軽視・弱者に冷淡な政治を続けてきたといわざるを得ない。

 

我々国民の皮膚感覚は、正常にこの社会不安を捉えていたはずである。それにも拘わらず、小泉政権に対するTV・大手新聞調査による支持率は高水準を維持した。不思議で仕方がない。世論調査の統計手法に統計学的問題はないのか(サンプリングに統計学的に見て、偏りがないのか)、そんな疑いさえ抱いてしまうほどに、異様な支持率を毎回、たたき出していた。

 

ただ、上述したように小泉施政は数字で見る限り、国民のなかでも弱者に対し、あまりにも冷淡であることを如実に表わしている。それは、世に言われる小泉氏自身の性格にも起因しているのではと思わせるほどに、冷たく、非情である。

 

Г砲弔鼎

 


小泉施政5年の総括――経済政策の無策1

小泉施政5年の総括――経済政策の無策

 

,砲發匹

 

 東証平均株価は2003428日に7,607円の最安値をつけた。小泉政権が国民の期待を背負って船出した2001年4月26日からちょうど2年経った日と言ってもよい。発足の前日(425日)の日経平均株価は13,828円であったから、二年間で45%という株価の大暴落を招来したのである。2002年の大納会(12.30)終値が8,578円、7,607円の最安値を記録した2003年の大納会(12.30)終値が10,676円であるから、2003年前半の経済状況がどん底であったことが分かる。

 

内閣発足時から奈落の底の最安値時までを東証一部の時価総額の動きで見ると、120兆円(2001.4.25時点 268兆円→ 2003.4.28時点 147兆円)の減少を招いたことになる。この規模は株価が奈落にあった2003年の名目GDPが498兆円であることを考えれば、その13というとてつもない国力を政権発足後の二年目にして吹き飛ばしてしまったといってよい。当時の経済界を覆う絶望的な雰囲気は今思い起こして見ても、背筋が凍ってくる。

 

そんななかでも、小泉内閣は2001年度の「骨太の方針」で示した「2003年度(のちに04年度まで延長)までを成長なしの集中調整期間」(http://hero1945.livedoor.biz/archives/50098684.html)として、何ら有効な経済政策の手を打つことをしなかったのである。国債発行30兆円という自らの縛りで財政出動を怠り、ひとりに中央銀行の金融政策に景気回復の責務を負わせたのである。そして、日銀は量的緩和、前代未聞のゼロ金利政策(つまり日銀の政策手段を奪うこと)へと舵を切っていかざるを得なかったのである。それは「ブレない小泉」というフレーズがマスコミを通じ巷間に流れ出した頃である。「己(財政=内閣)の庭先だけを掃き清め、改革が進んでいるのだ」と国民を欺く政治手法の出現であった。小泉内閣の面目躍如(めんぼくやくじょ)と言ったところであろうか。

 

ところで、集中調整期間とは一体何であったのか? 集中的にひとつの問題を解決するために一点集中の改革を行なうということであれば、その意味は理解できる。骨太で云う銀行の「不良債権」が、「経済悪化の諸悪の根源である」として一気呵成にその処理を強行したことを「集中調整」というのであれば、それは結果として「国民にとって不幸な誤解」であったと云わざるを得ない。不良債権は経済活動の結果として出てくるものであって、それが原因で経済がおかしくなるというのは、それこそ本末転倒の理屈であったからである。

 

集中調整とは、通常の世界の言葉で言えば、重篤(じゅうとく)の患者をICU(集中治療室)に入れ、細心の注意の下、最新医療技術を総動員して患者の生命を救うことに言い換えられる。そして重篤の患者とは、銀行というより日本という国であったはずである。不良債権とは借り手の企業が、借金を返せなくなったことから生じた。何故、借金が返せなくなったか。それは、景気が急激に悪化し、デフレ経済脱却への政策出動を政府が忌避したからである。この誤った判断による政策忌避の罪は余りにも重い。日経平均株価が発足時点を初めて上回ったのが、2005年に入ってからであることが、その経済政策の無策、失政であったことを如実に物語っている。

 

小泉施政下の経済指標の推移をより詳しく見てみれば、その失政の姿はもっと明らかになる。

 

そもそも小渕内閣の景気対策により一旦持ち直した景気が下降を始め、デフレの兆しが見える中で「急激な改革を進める」との熱に浮かされた病人のように狂信的なアナウンスを発し続けたことが、市場や経済界を極度の不安心理に駆り立て恐慌状態におとしめたことが、市場心理をドラスティックに冷え込ませた原因である。経済は立派な生き物であり、ナイーブな心を持っているのである。

 

結果は数字に如実に現れている。国民経済計算(確報)による「国富」(国民全体が保有する土地や建物などの資産から負債を差し引いた国全体の富=正味の資産)は、2000年の2,903兆円から2004年の2,647兆円へと▲256兆円もの減少を示した。2005年の名目GDP(502.5兆円)の丁度半分に当たる国富が、この4年間で失われたことになる。そもそもGDP総額自体が基本的に500兆円を超えていたものが、小泉政権になってからの4年間は常にその水準を割り込み、この2005年に至りようやく2000年の規模を若干だが上回ったのである。これほどに日本経済は政府の無策により痛めつけられ、国力を大きく削ぎ取られたのである。

 

そしてこれは明らかにデフレ経済であり、GDP成長率も01年▲0.9%、02年▲1.4%、そして03年の4月には東証平均株価は最安値の7,607円をつけた。消費者物価も1999年から連続7年間マイナスを記録、地価下落も止まるところを知らず、小泉内閣になり下落幅は増し(年間▲6.3~8.4%)、日本のデフレ経済は危機的状態に陥った。

 

この未曾有のデフレ進行のなかで、劇薬としかいいようのない強制的な不良債権処理が敢行されたのである。内科治療では不良債権の処理は進まぬとして小泉内閣は外科治療を施すことを選択した。不良債権の存在が不景気の元凶であるとの竹中経済財政・金融担当大臣の誤った持論が押し進められた。上述のように不良債権はデフレ経済が進行するなかで、個人消費が防衛的になり微減、住宅投資は96年に27.9兆円あったものが、2000年に20.2兆円、01年18.5、0217.9、03年17.8兆円と釣る瓶落としに減少していった。こうした状況で企業業績が振るう訳がない。企業の経営体質は悪化の一途を辿るのみであった。加えて国債発行30兆円という骨太のお題目に自縄自縛(じじょうじばく)となり効果的財政出動もせず、「ブレない」と賛美された硬直的政策運営が、いたずらに我が首を絞めてゆき、不良債権は逆に増大することとなった。

 

難度の高い外科手術には当然だが、優秀な麻酔医が必要である。しかし、不良債権の処理を麻酔薬もなし(健全銀行への公的資金は贈与でなく、貸付金。米国の金融危機時はGDPの10%に当たる金額を金融機関へ贈与し、短期間で危機を終息させた)で強行した結果、企業の倒産件数も96年に1.4万件であったものが、01年、02年と1.9万件と増大し、完全失業率も02年には5.4%と、戦後の混乱期を除いて最悪の数字となった。ここに社会不安が高まり、民心の荒廃を見、国が崩壊して行くような様相を呈したのである。結局失政のツケは一番の弱者である国民の肩におっかぶさってきたのである。

 

スタート時に朗々と謳いあげた四つの骨太方針のうち、国土に屍を累々とさせた挙句の「不良債権処理」と、緊急を要しない「郵政民営化」を強行させた。しかし国債発行30兆円は一度の達成も見ず、小泉内閣として最後の来年度予算において無理やり30兆円へ押さえ込んだ。また、「5年間で530万人の雇用創出」も、この4年間は2000年(5,356万人)の雇用者数を逆に下回り、2005年(5,393万人)になって僅かに37万人の増となったというお粗末さである。効果的な手立て、政策の実行を成さずして、骨太と云う言葉尻だけのお題目で難題が解決するほど世の中は甘くない。

 

小泉経済政策の無策が、結果として社会不安を惹起(じゃっき)し、社会規範の崩壊すらもたらしていった責任は極めて大きい。次回は、小泉施政のもたらした社会不安について語ることにする。

 

Δ砲弔鼎

 


小泉施政五年の総括ーー経済政策の無策2

「小泉施政5年間の総括――経済失政ぁ

 

,砲發匹

 

 2001425日の日経平均株価は13,828円であった。翌日、小泉純一郎衆議院議員は衆参本会議の議決において第87代内閣総理大臣に指名された。この日、後世、「小泉の海図なき改革」と呼ばれることになろう時代の幕が開いた。

 

 第一次内閣で、改革の目玉として竹中平蔵慶応大学教授を国務大臣、経済財政政策担当大臣に任命した。同氏は1984年に東洋経済新報社から出版した「研究開発と設備投資の経済学」によりサントリー学芸賞を受賞したTVでお馴染みのタレント学者であった。ただ、同氏を世に送り出すことになった受賞作の内容は、開発銀行時代の同僚である鈴木氏と共同研究した論文を中心とするものであり、鈴木氏の承諾なく竹中氏の名前のみで出版され、それが受賞対象となったと当時の関係者は語っていると云う。一部週刊誌でもこの問題が取り上げられたこともある。

 

 そうした学者としては自殺行為に等しいことを行なった可能性が濃厚である人物を、小泉総理は「経済財政政策担当大臣」という新しい国務大臣に抜擢した(もし、それが事実であれば人間としても倫理上、許されることではないことはもちろんである)。そして、20011月(森内閣)に初会議が開かれた経済財政諮問会議を宰領する経済財政担当大臣に、小泉内閣の閣僚として同氏が就任した。

 

 同年621日には、初めての「経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」いわゆる「骨太の方針」が決定された。次に各年の「骨太の方針」を列記する。改革という名のもとに、国民が「小泉総理」に身を焦がしたその骨太に掲げたお題目が、現在、どのような結果となっているのか。分かりやすい所から、総括を始めていきたい。まず、前回掲載した冷厳な経済指標の実績と、以下の骨太の方針をじっくりと見比べて欲しい。「改革」に踊り、「改革は国民の痛みを伴う」に納得して、痛みをこらえてきた従順な国民にこれから小泉劇場が結果として何をもたらしてくれたのかを、順を追って詳らかにしていきたい。

 

2001年度〕(竹中大臣)

    2003年度まで(のちに2004年度まで)を成長なしの集中調整期間とし、それ以降の経済成長を軌道に乗せることを主眼とする

 

        国債発行30兆円以下

        不良債権処理の抜本的解決

        郵政民営化の検討

        5年間での530万人の雇用創出

 

2002年度〕(竹中大臣)

          2010年代初頭に国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を目指す

 

2003年度〕(竹中大臣)

        「三位一体改革」で地方補助金を4兆円削減し一定割合を税源移譲

        一般小売店での一部医薬品販売など規制改革の推進

 

2004年度〕(竹中大臣)

        地方へ3兆円税源移譲

        2005年に郵政民営化法案提出

        社会保障制度見直し開始

        デフレからの脱却を確実なものとする

 

2005年度〕(竹中大臣)

        政府のODAの戦略的拡充

        公務員の総人件費削減・定員の純減目標

        市場化テストの本格的導入

 

2006年度〕(与謝野大臣)

    成長力・競争力の強化

        アジア諸国を中心とした経済連携協定(EPA)交渉の促進

        3年間で100のモデル商店街を選び、中小小売業を重点支援

 

    財政健全化

        2011年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化(必要対応額=16.5兆円、歳出削減策=11.4兆〜14.3兆円)

        10年代半ばに国・地方の債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ

        社会保障の安定財源として消費税を検討

        国の資産を約140兆円規模で圧縮

 

    安全・安心の確保など

        フリーターにも国家公務員への就業機会を提供

        正規・非正規労働者間の均衡処遇を目指す

        少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換

 

イ砲弔鼎

 


小泉施政五年の総括ーー経済政策の無策 3

小泉施政5年間の総括――経済政策の無策

 

,砲發匹

 

 これから、小泉施政5年間の総括を具体的数字に基づき検証・評価していきたいと考える。小泉施政の五年間をある意味要約した数字を表にまとめてみる。「改革なくして成長なし」のスローガンは一時期この日本中に吹き荒れた。景気対策に財政出動を言おうものならば、非国民のような様相まで呈させた、その「スローガン」は正しかったのか。まず、内政面で問題になった経済面の数字を検証したい。

 

【小泉内閣の経済関係指標の推移】(主に年次経済財政報告より)

 

西  暦    00   01    02   03    04   05   06

内    閣  小渕・森  森・小泉  小泉    小泉     小泉   小泉     小泉

 

(円)

株最高値 20,833   14,529      11,979       11,161      12,163      16,344    17,563

同最安値  13,423       9,504      8,303         7,607      10,365      10,825    14,218

 

(兆円)

時価総額  353         291          243           309            354          522         505

国富      2,918       2,856       2,747        2,668         2,653       2,640   −

 

(兆円)

GDP    501.1 496.8        489.6        490.5         496.1       502.5  508.0

 

(%)

成長率    1.1      -1.0         -1.3   -0.2  1.6           0.6    1.3

 

(%)

完全

失業率   4.7  5.0    5.4    5.3   4.7    4.4        

 

(%)

消費者物価

指数    0.7      0.7   −0.9   0.3             0.0   −0.3     −

 

(%)

市街地地価

指数    5.8      6.3  −6.7  7.1            8.4   −7.1   −

 

(兆円)

国債発行 33.0   30.0     35.0     35.3     36.6     34.4   30.0

 

(万人)

雇用者数 5,356  5,369    5,331    5,335   5,355   5,393   5,472

 

(件)

企業倒産

件数    18,769     19,164      19,087       16,255      13,679       12,998       −

 

時価総額:東証一部株価  GDP:名目 GDP成長率:名目 

  国債発行: 新規財源債

 

次回は上表の数字を使い、具体的に論述したい。まずは小泉内閣の経済政策の実績が客観的に表されている数字にじっくりと目を通していただきたい。

 

い砲弔鼎

 


「小泉施政5年間の総括◆廖宗従泉首相の国家運営に対する使命感4

「小泉施政5年間の総括◆

小泉首相の国家運営に対する使命感

 

,砲發匹

 

 7月7日(金)の東京新聞朝刊の二面の囲み記事「帰国後の発射…おれはついてる」を目にして、この「小泉施政5年間の総括」の結論を小泉総理自らが語っているように思えたので、次にその全文を転記する。

 

『小泉首相は六日夜、首相公邸で自民党幹部と会食し、北朝鮮によるミサイル発射に関して「おれはついている。(訪米中のエルビス)プレスリーの邸宅に行ってるときにテポドンを撃たれたら格好悪いだろう。(日本に)帰ってきてからで運がよかった」と述べた。会合には武部勤幹事長、久間章生総務会長らが出席した。』

 

 卒業旅行と揶揄された今回の訪米から7月1日に帰国して、わずか4日後(7月5日)に北朝鮮はテポドン2号を発射、ロシア沖南方200キロの海上に着弾した。合計7発のミサイルが発射された。

 

 それを受けての翌日の夜の会食の発言が、上に引用した東京新聞の記事の内容である。北朝鮮ミサイル問題は徐々にその情報が洩れてきているが、既にひと月ほど前には、ミサイルが複数発発射される可能性が高まったことをキャッチしていたと政府は言う。

 

 であれば、627日に政府専用機で米国へ向けて離陸したときには、緊迫した情勢であることは分かっていての「卒業旅行」であったことになる。そして、メンフィスでのあの醜悪なプレスリーの物真似である。

 

 北朝鮮の挑発や脅しに乗れとは勿論思わない。彼らにそういう計画があることを把握して、訪米を中止することは逆に北朝鮮の思う壺に嵌(はま)ることになるからである。「卒業旅行」は粛々と進められるべきであり、ブッシュ大統領と北朝鮮問題につき膝詰め協議をしたであろうことは、その意味では何ら非難されるものではない。

 

 しかし、六日夜の発言は、小泉首相の国家指導者としての意識に大きな問題があるとして、強烈に非難されるべきだと考えるのである。現在、ミサイルを日本に撃ち込まれた場合、それを迎撃する手段を日本は持たぬ。狂気の独裁者、あるいは軍部の独走により何を起こすか分からぬ北朝鮮である。ミサイルが日本領土に撃ち込まれるというシナリオを、確率は少ないとは云えそれを想定したうえで、その対処を怠らぬのが、国家を指導するものの使命ではないのか。本来であれば、万分の一でも国土飛来の可能性があれば、国民の命を守れぬ状況にあるという一点で、指導者は狂わんばかりに心を砕き次善、三善の措置、準備をとり、命を縮めるようにして必死に国民の為に祈るのではなかろうか。

 

 然るに、ミサイル発射後に口を突いて出たのは、「おれはついている」「格好が悪いだろう」である。気の置けない取り巻きたちとの会食中の発言だけに、本音と軽さがあからさまに表に出て、小泉総理の正体、指導者としての欠陥が浮き彫りになったように思える。一国民としてこの5年もの間、こんな男に日本の舵取りを任せたのかと思うと、本当に悲しくなり、空恐ろしくなるのである。これから、小泉施政を諸々の数字を材料にして客観的な評価を行なっていくことにする。

 

につづく

 


小泉施政五年の総括3

「小泉施政5年の総括 

 

(連載 銑─

 

今から52ヶ月前の平成13年4月26日の午後、衆参本会議での一致した議決で、小泉純一郎衆議院議員が87代目(56人目)の内閣総理大臣として国会指名を受けた。

 

同日夜の総理親任式及び国務大臣認証式の後、内閣総理大臣談話を発表。その中で、「政治に対する国民の信頼を回復するため、政治構造の改革を進める一方、『構造改革なくして景気回復なし』との認識に基づき、各種の社会経済構造に対する国民や市場の信頼を得るため、この内閣を、聖域なき構造改革に取り組む『改革断行内閣』とする決意です」と述べた。

 

続けて「改革を推進するに当たって、常に、旧来の利害や制度論にとらわれることなく、共に支え合う国民の視点に立って政策の効果や問題点を、虚心坦懐に検討し、その過程を国民に明らかにして、広く理解を求める『信頼の政治』を実施してまいります」と高らかに語り、小泉内閣はこれまでにない内閣支持率を追い風にこの日本丸を海図なき航海へと船出させたのである。

 

【4.26        内閣総理大臣談話】

http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2001/0426danwa.html

 

それから、はや5年が過ぎた。この9月の自民党総裁選を機に、総裁の椅子を降りると宣言し、618日に第164回国会を終えた今、大手メディアは後継者予想とその品定めに忙しい。

 

そして国会閉会を心待ちにしていたかのようにして、小泉総理は30日にテネシー州メンフィスの故エルビス・プレスリー邸「グレースランド」を訪問するため、北米へと旅立った。一応、直接にメンフィスを訪れるのも気が引けるのか、カナダのナイアガラの滝を先に見学して、「壁がグリーンだと思ったんだけど、流れがグリーンだったんだね」と、感嘆の声を上げて見せた。そうはしゃぐ小泉総理の瞳に国内で明日の糊口をどう凌(しの)ぐかを寝ずに悩んでいる民がたくさんいることを案じる光は、ひと時も灯ることはなかった。

 

20日、北海道の夕張市は、自治体の倒産にあたる「財政再建団体」になると表明し、総務省に申請をすることとなった。地方経済の荒廃が言われだして久しいが、とうとう、自治体の崩壊が始まった。第三セクターをふくめて夕張市の事例はまだまだ氷山の一角に過ぎないのだろう。

一方、安全保障面では、北朝鮮のテポドン2号の燃料注入、発射の懸念も拭えぬ状況である。

 

この内外情勢のなか、国会会期の延長を頑なに拒み、教育基本法案など重要法案を積み残したまま、あえてカナダ、アメリカへわたる必要があるのだろうか。国民は果たして、こうした小泉総理の政治に対する姿勢について本当に納得しているのだろうか。退陣表明の後も、まだ40%の支持率を維持する化け物総理の5年におよぶ政治の総括を始めたいと思う。

 

△砲弔鼎



 

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