2016年も残すところあと二週間ほど。
2016年は熊本大地震や東北初という台風上陸といった天変地異やEU各国で勃発したISISによる無差別テロ、英国のEU離脱、押し寄せる難民問題など国内外で自然災害や大事件、難しい人道問題など環境問題も含め内外情勢は混迷の極みといってよい。
こうした色とりどりの頭が痛くなるような問題はのちに譲るとして、ここではゆるりと日本各地の紅葉の色とりどりを振り返ってみたい。いつも息苦しくなるような話ばかりでは気も萎えるし、人生楽しくない。
季節感がずれてきたような昨今の気象であるが、それゆえに来年の紅葉鑑賞の一助となるよう、今年、わたしが巡った各地のその時々の紅葉状況をここに記録しておこう。この二か月にわたる色とりどりの写真を振り返ってみて、季節の移ろいも土地々々でこんなに違いがあるんだ、この国は意外と広いもんだと実感した。
陰惨で悲惨で理不尽な事件や自然災害が多すぎる猿年だったが、こうした各地の紅葉の色とりどりはまたある一面、自然の限りない慈しみや恩恵にわれわれは抱かれて生きているのだ、大きな自然の営みと比べれば人間の存在なんてほんとに小さなものなのだと、改めて思わざるを得ない。
我が家の2016年の紅葉狩りの始まりは、信州の白駒の池である。ここは標高2100mにある湖のため紅葉は同じ信州といっても他所より二週間ほど早いのが常である。
例年、10月の三連休ではタイミングが遅くなり、湖畔の紅葉はほぼ終わりといった状態であった。そこで、今年は少し早めの10月4日に訪れたが、今年は逆にあと数日ほどあと、まさに三連休のあたりがどうもピーク(ブログ記事・「2016年の白駒池(しらこまいけ)の紅葉は10月8日から10日の3連休が見ごろ」)であったようで、世の中、そううまくいかないものだと知らされたトホホの紅葉狩りのスタートであった。
その日、白駒池からメルヘン街道(国道299号)を下り、湯みち街道(県道191号)へ入り、標高1500mにある御射鹿池に立ち寄った。その時、撮影したのが次なる写真である。
標高差600mというのはやはりこれだけの色づきの違いがある、自然は正直だともろもろ感じ入った秋の一日であった。
次に日本列島でも有数の東北の紅葉である。時期がドンピシャといかぬのが紅葉狩りと春のお花見。その日はいつとヤキモキする気持ちやついに盛りに出逢えた時の感動が日本人の心の琴線を微妙につま弾くのだろうか、その感動を求めて衝動的にみちのくの旅へと向かった今年。
まずは、松尾芭蕉の「閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉の声」の句であまりにも有名な立石寺・山寺(山形市)。標高350mほどにある仁王門の10月30日の紅葉です。
標高400m余の立石寺・奥の院の少し下にある開山堂から見た修行の岩場・釈迦が峰の景色。
次が翌日の朝に訪れた天童市の若松寺(じゃくしょうじ)の境内の黄葉です。
10月31日の若松寺になります。地元でもなかなか見られない月山が鐘楼前の高台から見えて儲けものだとタクシーの運転手さんが言っておりましたので、一枚どうぞ。
その日、天童駅から山形新幹線に乗り、郡山で磐越西線に乗車。途中、猪苗代駅で下車、猪苗代湖と湖畔に建つ有栖川宮の別邸であった天鏡閣と庭園(福島県猪苗代町)を見学。その時の天鏡閣の紅葉です。
10月31日の状況ですが、日当たりの関係で早いやつはすでに落葉していましたが、盛りのものもあるといったまだら模様でした。
次は翌朝の11月1日、会津の東山温泉の旅館・向瀧(会津若松市)の百合の間から中庭に色づく楓を撮ったものです。
向瀧の建物自体が国の文化庁・登録有形文化財第一号に指定され、各部屋も文化財という趣のある旅館でした。30数年ぶりの再訪でしたが、当時はこうした中庭の風情や伝統建築に興味を覚えた記憶はなく、年齢を重ねるのも一概に悪くはないなと感じたところでした。
東北の旅の最終日(11月1日)はまず鶴ヶ城(会津若松市)へ向かいましたが、雨模様に色づく堀を芸術的に撮ってみました。
次は雨が降りだした城内を天守閣から空撮?しました。
帰京後、家内が仲間と箱根、11月16日に河口湖へ一泊旅行で楽しんだ紅葉の景色です。
次は11月20日の東京・昭和記念公園の紅葉です。
秋の黄昏の風情がただよう素敵な写真になっていませんか。次は園内にある日本庭園の紅葉です。外人も多く訪れるすごい人出でした。
その翌日に家内の実家の高松へ向かいました。11月22日の四国の屋島(高松市)の紅葉です。復元された日本書紀に出てくる屋島城(やしまのき)の見学に行った際に撮りました。
屋島寺の手前にある血の池に色づく紅葉です。昔、源平屋島の合戦で武士たちが刀の血をぬぐった池だと伝わっています。
11月25日、岡山県にわたり古代山城・鬼の城(きのじょう・総社市)を見学。
1400年前の景観だとロマンを掻き立てられた秋の景色です。
屏風折れ石垣と下のほうに鬼の城の東門を見る絶景のなかに色づく木々が見えます。
そして、鬼の城約5kmを巡る山行の最後に出逢った鬼城山(きじょうさん)山頂に立つ楓が一本、とても印象的でした。
12月1日の名古屋市の熱田神宮を参拝。本宮の千木の向こうに黄葉が見えます。
境内に色づく楓です。太陽の光があればもっときれいだったのですが。
以上、2016年の紅葉狩りの総括をしてみましたが、やはり異常気象の影響でしょうか、楓の葉っぱが日に焼けていて、全国的にみずみずしさに欠けている印象であったのは残念です。日本らしい紅葉はやはり温暖で湿潤な気候に恵まれた年に目にすることができるのだと感じたところです。
来年の紅葉狩りの計画を立てる際の目安として、今年の日付と各地の紅葉具合が参考になればと思いアップしました。来年こそ世相も気候も穏やかで心休まる年であってほしいと願って紅葉レポートを終わります。