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中京区烏丸竹屋町少将井町225 ☎ 075−241−4547
お土産には京都駅新幹線構内店が便利
つい先ほどのブログで軽薄な時流には乗らない昭和20年代生まれのこだわりについて語った。その舌の根も乾かぬうちにとはこのことであるとわれながら少々気恥ずかしいが、なにせちょっと風変わりだがおいしいシュークリームを紹介せずにはいられないので、恥を忍んでここにアップする。
何しろ京都駅の新幹線構内のみやげ売り場で運命の出会いがあってからこのひと月、二度もこの京野菜シューを買い求め、舌鼓を打ったほどに要ははまってしまったわけである。
「Creme de la Creme(クレーム・デ・ラ・クレーム)」は、創業140年の“そばぼうろの元祖”石田老舗(いしだろうほ)がプロデュースするシュークリーム専門店なのだそうだ。
以前、うかがった“そば茶寮の澤正”もそばぼうろの元祖を謳い、そばぼうろの商標登録もおこなっていたはずだが・・・。
あぶり餅の一文字と飾り屋のように昔のこととて、今どきの知的財産権どうのこうのと目くじら立てるなんて、千年の都を自負する京都の方々にとって、「都に元祖はいくらあってもよろしゅおす」といった様子で、いかにも懐の深いところであると、お門違いの感心をしてしまう。
さて、わたしが買ったのは京野菜シューの5個入りセットで1080円と値段も手ごろ。包装もずいぶんとお洒落で、簡単なお使い物にはもってこい。シュークリームの種類は4種類で白味噌だけが二つ入っている。
包装もなかなかお洒落で凝っているが、中身、シューの中身のクリームの彩がまた何とも言えず美しく食欲をそそる。
こうして、ナイフでちょっと半分に切って彩りを玩味してから口に入れるのも通というもの。そして、いよいよ、お味の方だが・・・。
わたしがこれは面白いとその風味にほれ込んだのは万願寺とうがらしシューである。
とうがらしという名前からちょっと警戒気味に口に入れたが、さわやかな青味みの味が咥内にひろがり、大げさに言えばシュークリームというものの常識を打ち破った、革命的なシュークリームである。
もちろん、京野菜の風味をクリームに混ぜ込むという発想自体が革新的であることは確かだが、最もその狙いがきわだっているのが万願寺唐辛子であると感じた。
また、京トマトの薄いピンクもひと口口にしてクリームの色を目にしたところで、なんといえぬトマトの味が鼻腔に届いてくるようで、これまた素晴らしい。
トマトのもちろん臭みなどなく、口内にほのかにトマトの甘みが隠し味のように仄かな香りをただよわす。
紫色が加茂なすである。
そもそも茄子の匂いというものが薄弱であるため、これは色合いを楽しみつつおいしいクリームを堪能すればよい。
京の白味噌は一風変わったシュークリームである。
見た目、外観からはもちろん分からないが、口にしてクリームのそこに下地が入っていて、ここに白味噌が含浸されているようである。
なかなか手の込んだ仕事をしていて、これまた唸るしかない。目でも口でも楽しめる京野菜シュー、秀逸である。
人数によって10個入りや16個入りが選べ、しかも季節によって丹後の大黒豆の紫ずきんや鹿ケ谷かぼちゃや丹波栗といった品ぞろえもあって、お土産としては目先も変わり場を盛り上げるのは請け合いの京のお菓子、お土産である。