茅野市北山字鹿山4026−2 ☎ 0266−60−3817
“旬泉(しゅんせん)”は蓼科東急リゾートのセンター地区にあるCP(コスパ)のよい蕎麦処である。
店内にはゆったりとテーブルが配置されている。
混んで来てもこれだけスペースがあるので、隣が気にならないのもよい。
小さな子供さんがいても大丈夫、大人数でワイワイやっても問題ない、それはそれは庶民的で避暑地のディナーなんて気張る必要のない肩の凝らぬお店である。
そして、ここのウリであるが、ずばり“味”である。そして“人”である。
気さくな料理長の黒田正幸氏の腕一本で、新鮮な蓼科の食材にさらなる磨きがかかる。
毎回訪ねる度に、ちょっと目先を変えたひと皿が供される。そのささやかな驚きが最近、当店を贔屓にしている理由のひとつである。
今回は、甘みの効いた味噌に山椒の辛味を絶妙に合わせた“山椒味噌”。
採りたての胡瓜につけて食べると、これは暑い夏の冷酒のお伴にそりゃぁ合うこと、合うこと。
胡瓜がなくなって皿に残った山椒味噌を箸でこすりあげ舌へのせる。
ぴりっとしたところで、諏訪の地酒、純米吟醸の冷酒“よこぶえ”を口へ放り込む。
これだけで、うだるような夏の、といっても蓼科の夜はかなり涼しいのだが、まぁ、そこは筆の勢いで“うだる夏”にはもってこいのアテである。
料理長にこれを瓶詰にして売ったらよいと奨めたが、販売するほどの量が作れないのだという。まことに残念である。今年のこの猛暑、のん兵衛には堪らぬ一品である。
東京で販売すれば、飛ぶように売れるはずなんだがなぁ・・・
こう書くと、ウリは山椒味噌だけみたいで他に旨いものがないように思われるとまずいので紹介するが、旬泉の天婦羅は家内がホクホク顔で口にする、これまた絶品である。
東京の名のある天婦羅屋でも、こうはいかねぇってな“天婦羅”である。
なにせ、素材が違う。産地直送じゃなくて山地直結であるからして口に抛り込んだときの“香り”と“活き”がまったく違う。
野菜や山菜が育つ肥沃な土質の栄養分がそのままのり移ったようなふくよかな味わいが口中にひろがるのである。
さらに、当然だが、天婦羅のコロモの揚げ方がほどよく、家内に言わせると本当に上手なのだそうだ。
プロだから当たり前ではあるが、天婦羅の美味しくない蕎麦屋が最近、結構、多くなってきているのも現実だからなぁ・・・
ほかにも、まだまだあるんでございますねぇ・・だし巻きたまごも、イケテますぜ。
ワカサギの南蛮漬けも、諏訪湖を控えたこの地ならではで、大振りのワカサギが豪勢に盛られた美味のひと皿。
牛すじの大根煮も必ず、最初にオーダーするアテでありますな。とろけるまで煮込んだスジ肉とそのだし汁がほどよく染み込んだ大根が旨すぎる。彦左の推奨する逸品である。
そして、最後に控えるのが、鴨南蛮、鴨汁、鴨おろし蕎麦である。
ここの鴨はなんでこんなにおいしいのか、いつも、そう思う。
鴨肉とつゆの味が香ばしくて、いつも「うまい!」と言葉が口唇から飛び出す。
それから当然のことだが、蓼科の清涼な水でしめた蕎麦は美味しいに決まっている。
次なる絵は山菜の天婦羅を注文しその種類を訊ねた際に”手書きの絵ですが”と、いただいたもの。
女性スタッフの西尾さんの手造りである。彼女のテキパキとお客のオーダーをこなしながらこうした質問にも心のこもった対応がなされる。事前の御もてなしの心映えが何とも見事です。
本格手打ちそば処“旬泉(しゅんせん)”は、サービス精神旺盛な料理長の黒田さんをはじめスタッフの人たちの心温まる応対にほっと心が和む、旨くてコスパも最高な蕎麦屋である。
お店の名前を間違えてしまいました。
旬泉でした。失礼しました。