京都府宮津市日置3599番地 マリントピア5号館1F

TEL 0772-27-0141


“ビオ・ラビット”は、籠(この)神社・傘松公園ケーブル乗場から国道176号線を“伊根の舟屋”方面へ5kmほど行ったマリーナクラブのリゾートマンションに併設されたレストランである。

ビオラビット、アプローチ

メンバーでなくともわれわれのような旅人、一般人も入店可能である。


ビオラビット看板
 ビオ・ラビット入口

店内はいかにもリゾートマンションといったインテリアが施されており、夏場はさぞかしお洒落な別荘族でいっぱいなのだろう。

開放感のある店内

われわれは一月の大寒の頃に訪れたので、さすがにお客はわれわれ4名のみ。お蔭といってはなんだが、ぜいたくな雰囲気を一人、いや四人占めさせてもらった。

テラス席もあるビオ・ラビット

一面のガラス窓越しに若狭湾が一望でき、丹後風土記逸文に記述のある“大嶋(冠島)”と“小嶋(沓島)”が見える。まさに神話と風土記の世界が目の前にひろがっている絶好のスポットである。

冠島と沓島
左が沓島、右が冠島

風土記逸文の“凡海(オホシアマ)”に、次の如き記述がある。

「凡海と称する所以は、古老が伝えて曰く、昔、天下を治めるに当たり、 大穴持命と少名彦命が、この地に到った時に、海中の所在する大嶋、小嶋を引き集め、およそ小嶋10個を以て、ひとつの大嶋となした。それで、名を凡海という。当国風土記にある」

また、逸文の“常世嶋 男嶋女嶋” に、次の如く記述がある。

「時に、大宝元年(西暦701)三月己亥、当国に地震あり。 三月震れ続けた。この嶋は一夜にして見渡す限り青々として広々とした様子に変じ、海となった。漸く、わずかに、嶋中の高い山、二峯がともに立ち、神岩が海上に出た。今、常世嶋と名づく。亦、俗に男嶋女嶋と称す。嶋ごとに神祠がある。祭る所の者は、天火明神と日子郎女(いらつめ)神なり。当国風土記にある」

その男嶋・女嶋あるいは大嶋・小嶋がここ“ビオ・ラビット”で食事をとりながら眺めることが出来るのである。古代浪漫に満ちた、なかなかの風趣をそなえたお店である。

さあ、そこで、そんな神話の世界から現実の世界へ話を戻さなければならない。

このリッチで浪漫あふれる雰囲気の“ビオ・ラビット”だが、そもそもはフレンチでスタートしたお店であったという。

ただ、HPのコンセプトに謳われているように、“地元丹後の自然栽培の野菜や果物、近海で獲れた魚介類など安全な食材を使用し心を込め手作りの料理を提供するジャンルを超えたオーガニック”にこだわりをもったレストランであるのだそうな。

当日も、土地(ところ)の食材をふんだんに使ったメニューをオーダー。どれもおいしそうで珍しい料理なので、軽くランチをの予定が、ついつい注文し過ぎたのを覚えている。


最初にオーダーしたのが、オードブル盛り合わせである。スモークサーモン、スモークチキン、京都ポークのベーコン、ピクルスなどに新鮮野菜タップリの盛り合わせがうれしい。

地の食材満載のオードブル

自家製の燻製はどれも香味たっぷりで美味。

そのなかでも、宮津湾の海藻をふんだんに使ったテリーヌはこれまた珍味。

海藻とえびのテリーヌ

そして、ズワイガニだったか豪勢な海鮮パスタもみんなホクホク顔でシェア・・・、あっという間に各自の胃袋へと収納。

海鮮パスタ

わたしがさらに大好きなペペロンチーノを所望。これまた特製ベーコンや地元野菜がてんこ盛りで、食いしん坊には堪らない。

自家製ベーコンと白数農園のキノコのペペロンチーノ

次に、ピザを注文。食欲という凡人の煩悩は抑えようがない。自家製ベーコンのピザをオーダー。パイ生地は非常に薄く、歯触りも小気味よい。

特製ベーコンと?のピザ

そして、最後の止(とど)めが、初めて目にする牡蠣ピザである。新鮮でボリュームたっぷりのトッピング・・・、この大粒の牡蠣で、さすがにお腹はいっぱいである。

名物・牡蠣ピザ

パスタが二種類、ピザも二種類、四人でシェアしたというものの、半年たって写真をチェックしてみるとこのボリューム感、この4人、なんという食欲の持ち主なのかと驚いた次第。

そして食後のコーヒーと洒落込みたかったのだが、列車の時間が迫っている。これから宮津駅までレンタカーを飛ばし、車を戻し、列車に飛び乗るという離れ業をやらねばならぬ。

コーヒーに後ろ髪を引かれながらも、冷静なるわたしが、もう出ませんかと声を発し、ランチタイムは終了(この一文に異議ある方、受付けます)。予定の列車にも無事、乗ることが出来たのであります。

そこで、“ビオ・ラビット”の総括を。


せっかく優雅な時間が過ごせる“ビオ・ラビット”である。ゆっくりと時間に余裕を持たせ、訪れるのが、洗練された大人たちの旅であると、思った次第。


そして、“ビオ・ラビット”を目的に丹後を訪れるそんな旅があってもよいのかな・・・対馬シェフの創る料理は初めて丹後半島を訪れた旅人にそんなことを思わせたものである。