初めて錦市場を探索した。
下の写真は京都の錦市場で買物したおつまみと杯で、帰京した夜、さっそく晩酌をした際のものである。
お酒のみ錦調達ではなく、天橋立をご一緒したご夫婦のご主人から旅の記念にひとつと地酒の・“酒呑童子”のカップ酒をご愛嬌でいただいたもの。
さて、われわれは市場の西詰めから市場へ入った。
“錦市場HP”の地図でいうと下から、上まで約390mの距離をエッチラホッチラ歩いたことになる。
さて、歩き出してすぐに大好きなちりめん山椒のお店があった。“田邉屋商店”という。早速にちりめんや可愛い五色あられ、色鮮やかなゴマも買っちゃいました。
堺町通りを越えて直ぐに“麩嘉”があった。当然の如く麩饅頭と御所麩を購入。
家内がお麩を買っている間に、わたしは二軒先の陶器のお店“器土合楽”に飛び込む。目にとまった幾何学文様の杯を購入。なかなか美しい・・・と一人悦に入る。
店の奥に窯を置く陶工房昌の蔵・器土合楽 酒が栄える杯買いました
“器土合楽”から引きずり出された私の目に次に飛び込んできたのが、おいしそうなお惣菜。家内曰く、テレビで頻繁にお目にかかる“井上佃煮店”だそうだ。佃煮がおいしいのだろうが、わたしには目の前に並ぶお惣菜をすぐにでも口に入れたいと思わせたお店であった。
またちりめん山椒が・・・。井上佃煮店”の対面の“京こんぶ・千波”である。ここでも試食してもちろん購入。
“千波”の隣にかの有名な“生まぐろのカルパッチョ”串のお店、“鮮魚木村”があった。もう、あちこちと目が忙しくて大変。
そして京都といえばお漬物。“打田”という店が店頭に桶を置き、おいしそうな漬物が漬かっていた。
京野菜の“かね松”もある。
お結びの“中央米穀”の正面に“”嵐山ちりめん細工館錦店“がある。外人観光客も入っていたが、若い女性好みの丹後ちりめんの小間物店である。家内もここで娘と息子の嫁のお土産にと何だか風呂敷を買っていましたな。
そして柳馬場通りを越える。まだまだ市場は続く・・・
直ぐ右手角にレトロなポスターが目に入った。“元蔵”というお店である。一杯呑み屋のような非常に趣きのある店構えと店頭メニューであったが、まだ、昼間とてグッと我慢の子。後ろ髪を引かれる思いで通り過ぎた。次回、ここで夕ご飯、いや一杯というのも一興かな・・・
そのすぐ先左手にこれまた旨そうなさつま揚げ、いや、京蒲鉾の“丸亀”を見つけた。一枚、買い込んでパクッといきたかったなぁ。
“丸亀”の右斜め正面に川魚専門店・“のとよ”がある。琵琶湖産の“本もろこ”が並んでいる。さすが京の台所である。こんな珍味も売っているんだ。
二軒先に豆大福のおいしそうな“もちつき屋”があった。もう、唾液は異常噴出、胃袋は暴発状態である。
その難所を何とか切り抜けたわたしが次に見つけたのが、鰻の“大國屋”である。関西はどちらかというとアナゴが主なのかと思っていたが、そうでもなく、鰻の暖簾が大きく下がっていた。
その斜め左先には鱧の照焼を売る“魚力”という店。ここは、う〜ん、すごいのひと言。わたしはただ、黙然と陳列された鱧に視線を這わせるのみであった。
そして精肉店のゾーンへ。“三木鶏卵”、“むら瀬精肉店”、鶏肉専門店“鳥清”がある。ここもいろいろと悩ましい買い食いゾ〜ンではある。
それと“三木鶏卵”の対面にはまたもやちりめん山椒が・・・、京佃煮・“旬味屋”である。ここでもちりめんに山椒味噌が美味しそうなので購入。
三軒のちりめん山椒を抱えて、さて富小路通りを越える。
すぐ左に何と乾物のマエストロなる店、“大友”があった。さすが京都、乾物にマエストロである。
そしてその正面に目を転じると、色鮮やかで可愛らしい京野菜が並ぶ。“川政”である。見ているだけで楽しい。
亀の形をした竹の子なんて、これって、食材に対する愛情なのだと感心した次第。ただ口に放り込めばいいってもんじゃないことを教えてくれた“亀竹の子”、粋で貴重な一品である。
その斜め前には生麩と湯葉の“近喜商店”。いやはや魅力的な食材が目白押しで忙しいことこの上ない。
次に店頭に積み上げた“鯖鮨”など押し鮨を見つけた。“伊豫又”である。この夜の夕飯にと“鯵鮨”を購入。するとこれから鯵鮨を作るので暫し、店内で待ってくれと招じ入れられた。そこで緑茶のサービス。疲れも溜まっていた私には甘露であり、椅子に坐ってまさに極楽。家内はというと、市場で購入した品々を「こんなにたくさん」なんて呟きながらひとつにまとめるべくテーブルの上で整理を始めた。“伊豫又”の鯵鮨のお蔭で、疲れも取れ、荷物も纏まり、大正解。
帰宅後、早速、鯵鮨を食したが、これは半端なくおいしかった。京都の好物がまたひとつ増えた。
それからちょっと数軒先左に、“ぎぼし最中”という魅力的な和菓子を売る“幸福堂”があった。これも次回、試さぬといけない一品である。
いよいよ錦市場も最終コーナー。麩屋町通りを越える。
右手三軒目、“焼きポン”なるおいしそうな丹波の焼き栗を商う“京丹波”がある。
さらに市場の東詰め辺りで、京の手書き扇子・“絵師の店”を見つけた。昨夏、愛用の扇子を失くしたこともあり、トンボの図案の涼しげなやつを購入した。ご主人の滝さんが上絵書きをしたなかなかセンスある扇子であった。
最後の〆はやはり京の漬物。“樽出しすぐき”を売る“高倉屋”である。
そして私たちのエッチラホッチラの錦市場探索も新京極通りへとぶつかり、これにて終焉となる。ずいぶんと長い距離を歩いたようだが、わずかに390mに過ぎない。
しかし錦市場を歩いてみて、京の町の人々が“食”を口だけでなく京野菜やあられなど目でも楽しむもの、また“まぐろのカルパッチョ串”のように既成概念に捉われず新たな食べ方を追求する様子などは、1200年の長い歴史が培った文化を愉しむ余裕、文化は自らが創り出すのだという覚悟のようなものを感じさせられたものである。
そんな感想を抱きながら、最後に東詰め突き当りの錦天満宮にお参りした。境内に吊られた提灯に今歩いてきた錦市場のお店の名前を見つけては一丁前の“錦マエストロ”だと早々にうぬぼれたところである。
よくぞ通しで歩けたと家内にお褒めの言葉を頂いたが、食い意地の張ったわたしである。美味しいものがあればどこまでも必死で歩いてゆくのである。
ありがとうございました。ご指摘の通り、大國屋さんでした。大変失礼いたしました。早速、訂正をさせていただきました。