東京電力が計画停電の停電対象の現状5グループの地域割の中身を細分化し、利用者の利便性を高めるという。各グーループをさらに5分割に分け、25グループにする新たな地域割を25日に発表するとしている。


一方、22日夜、荒川区、足立区両区長が23区内で荒川・足立の二区だけ停電というのは不公平であるとして、東電東京支店副支店長へ「電力需要抑制のためには停電の対象を広くするのが合理的で公平なのに、対象地域を狭め、場合によっては1日6時間の停電を強いることは誠に遺憾」との要請書を手渡した。


次に示すのは計画停電地域に入る都道府県別の公表世帯数(直近時)である。数字は、平成2241日時点の住民基本台帳を元にしたもので、単位は千世帯。


東京都 5,777(区部4,062+市部・町村部1,715

栃木713、茨木1,058、群馬720、千葉2,352、神奈川3,608、埼玉2,711、山梨322、静岡1,390


となっており、1都8県の合計は18,651千世帯である。


 そこで、計画停電で事実上除外地域となっている東京都区部21区(23区より荒川・足立区を除く)の世帯数はと言えば、3,699千世帯である。この数字は計画停電対象県のうち最も世帯数の多い神奈川県(3,608)と同規模で、1都8県の合計世帯数の20%すなわち1/5が無停電ということになる。


 M9.0という千年に一度の未曽有の大震災である。いまだ被災地では行方不明者の捜索、ご遺体の回収が続けられ、被災民の方々のご不自由、ご苦労を考えれば、たかだか3時間の計画停電が我慢できぬことなどあろうはずはない。


 実際に電力供給が足りぬのだから、もちろん計画停電を許容はする。しかし、なぜ、全体の2割にも当たる、神奈川県一県分にもおよぶ東京都の21区が計画停電の対象地域からごっそりと除外されるのか。納得のゆく説明が東京電力からなされるべきである。


 そもそもの大口需要地域である東京区部を除外した(荒川・足立区は除く)これまでの5グループ分け自体が大きく公平性を欠いており、合理的理由が不明で利用者の納得が十分得られていない。


 今回、利便性を高めるために新たに地域を細分化するというのだから、この当初の5グループそのものの見直しを「公平性」の観点から整理し直すべきだと考える。


 電力を途絶えさてはまずい中枢機能が集中する地域であるのなら、それを分かりやすく利用者に説明すべきである。同じ職場に居ながらまったく停電を経験していない人たちがいることに、暗い夜の停電を経験した者はどうも合点がいかぬのも正直な気持ちである。また停電を経験せぬ人たちも自分が悪いわけではないのに、どこか気まずそうにしているのも可哀そうである。


 電力は社会インフラの代表である。その公共性に鑑み、こうした緊急事態であり、なおかつ計画停電期間が長期にわたることが予想されるからこそ、利用者にかかる負担は公平であるべきである。区部をはずす合理的理由を示してくれればよいだけなのである。納得すればわれわれは停電することに文句などは云わぬ。


 東電の地域割に「公平性」の基準がはっきりせぬから、文句を言っているのである。