メドベージェフロシア大統領が1日、空路、国後島に入った。旧ソ連・ロシアの国家指導者が北方領土を訪れるのは初めてである。9月下旬からそうした話は伝わっていた。だから、日本政府は「両国関係に重大な支障が生じる」との警告を発し、その暴挙が万が一にも実行に移された場合、それに対する対抗手段は当然だが、周到に用意されていたはずである。

 

そして、その暴挙があろうことか昨日、起こってしまった。日本の領有権と警告は完璧なまでに無視された、力づく、問答無用の暴挙である。

 

 大統領による国後島入り直後の記者会見で菅首相は、「北方四島は、我が国の固有の領土であるという、その姿勢は一貫しております。それだけに今回の訪問は大変遺憾に思ってます。前原外務大臣の方から大使に抗議をいたしました。今後の事はどういった形で対応するか検討していきたいと、こう思ってます」と述べた。それは、とても国家主権を踏みにじられた国の最高権力者の言葉ではなかった。怒髪天を衝いて間髪入れぬ対応につき語るのではなく、怒りの一片すらも感じさせぬ、呆けたような空疎な言葉だったのである。

 

 このキョトキョトと目線の落ち着かぬ卑屈な男がこの国の最高権力者であることの恥辱にいつまでわれわれは耐えねばならぬのか。

 

 そして、今日(2日)、駐露大使を一時帰国させたことにつき、「事情を私も聞きたいと思って、そう指示しました」と、この男は言った。事情を私も聞きたい?事情なんか、外交力のない政権が普天間、尖閣でオタオタしている間に、北方領土の実効支配から確固たる領有化へと、一挙にこの領有問題のステージを上げようとの狙い以外に、どんな事情があるというのか。

 

 周到に用意がなされた対抗手段が、おそらく駐露大使の召還なのだろうが、それならば、相応の外交戦術的な物の言い方があるだろうがと言いたいのだ。尖閣に続きこの国の主権が、国際社会の面前で踏みにじられ、辱められているのだから。

 

 召還した後に、果たして次の手をどうするのか。この前の中国船長逮捕ではないが、まさか、地検の判断で釈放したなどという国家主権もへちまもない愚策をやるのではなかろうな?との不安がよぎってしまう。

 

「事情を聞き終わったので、大使を赴任地のロシアへ戻します」などと云って、あっさりと戻すのではないよね、菅さん!それ相応の覚悟を持って召還したんだよね!

 

 国民は恥ずかしくて居ても立ってもいられないんだよ、このあまりにもお粗末な政権に。本当に領土が食い荒らされる危うい状況だと、真剣に思わざるを得ないんだよ!

 

 あぁ、今度はきっと、韓国が竹島に李明博(イ・ミョンバク)大統領を上陸させて来るに違いない。何しろ、この政権は何をされようが、目先のゴタゴタが静まれば、それで良しと胸を撫で下ろすのだから。将来にわたる国益が大きく毀損されたことに対する自覚と責任感が全くないのだから。わが国と利害関係を有する国は、ここを先途とこぞって攻め込んでくるのは、必至である。

 

外交は戦争だということを知らぬ能天気集団が、この国を本当に弱体化させ、亡国の際に追い詰めようとしている。