神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 1

神々のふるさと、対馬巡礼の旅 ―― 2(和多都美神社)


  和多都美神社を見てきたが、これから対馬の神社を取り上げてゆく際に、頻繁に引用させていただく文献について、以下に説明しておく。

 

 鈴木棠三(トウゾウ)の「対馬の神道」(三一書房)および「日本書紀」(小学館・以下「紀」と云う)、「古事記」(小学館・以下「記」と云う)を主たる文献として参考とした。就く、「対馬の神道・第二部」掲載の「対州神社誌原文」(貞享三年(1686年))並びに鈴木氏により補充された「明細帳」等の「三書」は、幾多の伝承を紹介するうえでの基礎的資料として有効に活用した。

 

「三書について」

「対馬国大小神社帳」(以下「大小神社帳」):代々の対馬國総宮司職の家系である藤斎長(トウ・マサナガ)及び神社奉行一宮藤馬の手で宝暦十年(1760年)に編纂された。「大小神社帳」に「藤内蔵助(斎長)」について、「右者(ハ)対馬国大小之神社社領地之事?(ナラビニ)年中恒例之祭祀等之儀、宮司社家社僧命婦神楽師社役人之支配を相勤め、役号を対馬国総宮司職と申候」とあり、総宮司職という職位の職掌範囲が説明されている。

 

「対馬州神社大帳」(同「大帳」):藤仲郷(トウ・ナカサト=斎長の子)の手になる天明年間(178189)の著作。大小神社帳・大帳の二書は、中世・近世の神道信仰の実態が記された貴重な資料として神道研究のうえで価値を有す。

 

「神社明細帳」(同「明細帳」):古くは内務省神社局、戦時は神祇院による神社行政の対象となる全国神社の台帳。戦後は神社本庁で新たに各神社から提出したものをまとめた明細帳が作成されたが、内容的には新旧大差はない。