最近のやられっぱなしの日本経済を見ていると、この国に政府と呼べる経世済民を専らとする政治の司令塔など、ないのだと思うしかない。

 この11日には1995年7月以来の円高に突入。

 そして、先日、第一四半期の対前年比GDP伸び率が、わずかに0.1%との速報値が発表された。確定値になったら、ひょっとするとマイナスにもなりかねない危機的数字が発表されたのである。

 まずは、そうした為替動向について、菅首相は休暇中の軽井沢から12日午前中に、仙石官房長官に対し、急速に円高が進むことへの懸念を電話で伝え、金融市場で特異な動きがあった場合には報告するよう求めたという。政治の最高責任者、国民生活を守る最終的なゴールキーパーであるとの自覚ゼ〜ロ!の男と断じざるを得ない。

 それを受けた形で、同日、政府高官は、「政府として為替市場の動きを注視していく」
「今後の推移を注意深く見てゆく」と、他人事のようなコメントを発表、どこか評論家のような反応である。

 こうした経済の状況下では、敏速に具体的対応策を集中的に講じることこそ、政府の役割なのではないのか。軽井沢で休暇など取っているような連中に、「政治主導」を云う資格などない。

 また、現状の景況感の認識においても、政府内で、荒井聰国家戦略相は「政策が功を奏して軌道に乗りつつあると思っている」と、この景気減速の事態にも、素人といおうか、希望的観測の言葉を、政策当局の大臣とは思えぬ態度で並べた。

 その一方で、内閣府の津村政務官は、「景気は踊り場に入ったと言えるかもしれない。海外の景気の減速やこのところの円高などで、景気の自律的な回復の芽が摘まれることが懸念される状況だ」と、先行きを懸念する見解を述べた。

 この大事な時期に、政府内で現状の足元の景気認識が共有されていないことに、正直、驚きを隠せないし、政府内でそれこそ角付き合わせるような厳しい政策論議がなされた気配もないことに、こんな政府に政治を任せたままでは、この国は直に滅びてしまうと、恐怖心すら覚えてしまう。

 また、首相に続いて夏季休暇に官房長官が入るといった危機意識の欠如に、この民主党政権の経済政策をはじめ、安全保障などの国の舵取りの基本哲学についての無知蒙昧ぶりが一段と際立ち、国政を担当しているという極めて重い責任、使命感も、この民主党政権にはないのだと断罪するしかない。

 この政権は本当にあらゆる分野において、素人の集まりであり、抽象的な一般論を、首相を含め各閣僚が、好き勝手に言う、「思いつき内閣」、「口から出まかせ内閣」と言ってよい、無責任で度し難い政府であると、いまや言うしかない。 

 そんな厳しい環境の中で、民社党は9月14日の代表選かなんか知らないけれど、政治ごっこに余念がない。そんなことなど、やってる状況じゃないだろ〜!!というのに・・・

 そしてメディアも、永田町担当がここぞとばかりに張り切って、小沢一郎だの菅直人だの、さらには次期総選挙での議員辞職を決めたはずの鳩山前首相までもがしたり顔で現れる、その「ごっこ遊び」を性懲りもなく垂れ流す。

  わたしは、民社党政権に、長年の自民党政権下、諸々の利権や人事、政治献金の還流システムなど、この国の硬直化した政治システム自体に、抜本的な構造改革のメスが入れられることを期待した。

  しかし、いまの惨憺たる経済の状況の正確な理解さえままならず、なす術をまったく知らぬ政府閣僚の面々を見るにおよび、自分の不明を恥じ、ただただ慨嘆するしかない。

 本当に 政治主導とよく言ったもんだ。呆れて物も言いたくない。 だから、これで止めにする。 涙、涙、涙・・・・・・