民主党公認、谷亮子の大きな考え違い

 国会法の第1章「国会の召集及び開会式」において、第2条の3項は、「参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から三十日以内に臨時会を召集しなければならない」と規程している。

 

 7月11日の第22回参議院通常選挙で当選した議員の任期は、7月26日から始まる(第20回通常選挙の当選議員の任期は7月25日まで)。

 

 現在、臨時国会につき7月30日召集の方向で与野党間の調整が進んでいる。しかしその会期は数日間で、民主党は参院正副議長の選任などにとどめ、野党が求める4日以上の予算委開催は、両院で衆参1日ずつ、たった2日間の開催にとどめたいという。当初は、そもそも予算委開催を避ける目論みだったというではないか。何をかいわんやである。本格的論戦を展開する臨時国会は9月13日頃、2か月後の開催を予定しているという。

 

 本当にとんでもない話である。この難局に国民生活軽視、国民愚弄もほどほどにしろと言いたい。

 

先の通常国会(会期1月18日-6月16日/150日間)で6月4日に首班指名を受け、4日後の8日に発足した菅直人内閣は、所信表明演説と代表質問だけを受けて、新内閣としての予算委員会を開くことなく、会期延長もせずに国会を閉会、参院選に突入した。

 

そして、菅首相が行なおうとしている、国会法で定められた臨時国会を機械的に開催し、9月30日に任期切れとなる民主党代表の改選を9月5日へ前倒しするという党内権力事情だけでの国政運営に、わたしは憤りを越えて、この国の政治のあり方に絶望するしかない。

 

 いま、この国は、経済、外交、社会保障、治安、環境など、あらゆる分野でかつてない複雑で難しい課題に直面している。国民生活重視、命を大事にする政治というなら、国民生活の安定と夢のある将来を築くために、国会議員の本来の仕事場である国会で、寸暇を惜しんで寝る間も惜しみ、与野党で議論をすべきなのではないのか。

 

 いくら参議院選挙があったからとはいえ、7月、8月の二ヶ月間でたった4、5日の国会開催。(調査費・秘書手当・政党交付金等含む)議員歳費で試算すれば、二か月で一人当たり約2000万円を支払っていることになる。財政難の折、やはり、おかしいと言わざるを得ない。国民のために盆暮れもなく必死に議論し、働いている姿を見れば、こんな下衆なことを言う気はない。

 

 しかし、この国難とも言うべき事態に、もっとも深まった議論ができる予算委員会を、避けに避け回る菅直人という人物に、「誠実さ」の欠片を見出すことは難しい。そして、その姿勢には、「国民生活を重視する」視線の一瞥(いちべつ)すら認められないのである。