シドニー五輪女子マラソンの金メダリストの高橋尚子さんこと、Qちゃんが、民主党からの参院選出馬要請を断っていた。

 

10日に、柔道金メダリストの柔ちゃんが民主党からの出馬表明をしたところである。

 

その谷亮子氏が出馬表明する騒動のなか、なぜか北海道伊達市で農業活動をスタートさせた高橋尚子氏の動向が伝えられた。わたしは、この報道に接し、これもタレント・アスリートのパフォーマンスの一種なのだろうと余り気にもせず、一瞥したのみであった。

 

そして、その直後にQちゃんが民主党の出馬要請を拒否していたことが分かった。伝えられるところによると、

「政治の勉強をした人が国民の代表になるべき」、また、国民栄誉賞を受賞した者として、従来から「どこかの一党の議員にはなれない」として、これまでも同様の要請があったものの、この考え方に基づき今回も断ったと云う。

 

 その見識やアッパレである!

 

 今回も民主党や自民党など、恥も外聞もなく、名の売れたアスリートやタレントらを続々と擁立している。その有名人頼りの選挙姿勢を見ていると、自らの政策やこれまでの政治姿勢では国民に評価されぬとでも、言っているようなものである。

 

前回も言ったが、前職が何であろうが、政治を志すことに不都合はないし、国民として被選挙権は当然の権利である。

 

現に、評価は分かれようが、私は、お笑いタレントであった東国原宮崎県知事の最近の活躍と時機に応じた国政批判はなかなかのものと考えている。

 

ただ、彼にしても政治を志してからは、早稲田大学に入り直し(元々は専修大学経済学部卆)、第二文学部や政治経済学部で「選挙活動」や「地方自治」について学び、政治の世界で始動するための研鑽を積んでいる。

 

そうした準備があって初めて、地方自治や政治の基本的哲学に対する自身の見識を備え、実際の政治の成果を挙げ得るのだと思う。

 

そうした意味において、Qちゃんの「政治の勉強をした人が国民の代表になるべき」との発言は、久しぶりに一服の清涼剤を呑んだような、そんな爽やかな気分に、わたしをさせてくれたのである。

 

Qちゃんの唐突とも見える農業への思いも、調べてみると、そう半端でないことも知った。頑張ってもらいたいと思う。

 

Qちゃんの思いについては、「農業生産法人 のぐち北湯沢ファーム」のHPの「Qちゃんよりごあいさつ」から、次の言葉を引用しておきたい。

 

「私は現役時代からアスリートとしてカラダに良いものを食べよう、という強い気持ちがありました。良いものとは、決して高級なものということではなくて、カラダが喜ぶもの、本当においしいものということです。環境問題も含め、今、私たちは生活のさまざまな面を見直す時期にきているのだと思います。そうしたことを実際に体感するためにも、ここ数年の間、自分の手で農作物を育ててみたい、収穫したいと思うようになりました」

 

Qちゃんの言葉からは、まさ言葉どおりの「地に足の着いた」懐かしい土の匂いが漂ってきた。

その一方で、柔ちゃんの「地球に覆うほどの愛で頑張りたい」、「ロンドン五輪で金メダルを目指す」との会見場での言葉からは、ドブに落ち込んだときの饐(す)えた臭いがしてきたのである。