NHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放送が29日始まった。第一話が14.8%と歴代最低(これまで「どんど晴れ」の14.9%)の視聴率だったという(ビデオリサーチ:関東地区)。残念である。理由は後で述べる。

 

 視聴率については、とくにNHKの場合、BS2、Bshi、それから夜もBS2と多数回、多Chで放送が行われるため、NHK総合のみしか集計されぬビデオリサーチの視聴率は、いまの視聴者の生活スタイルに必ずしも適合しておらず、実態を表わすものとは言いがたい。だから、この数字だけで、「ゲゲゲの女房」の出だしが悪いと決めつける必要はない。現にわが家も娘は、朝のBshiで見、わたしは夜のBS2で見ている。

 

 まぁ、そんなことは実は今回の話に殆ど関係はない。ゲゲゲの女房のふるさと安来市と米子駅にたまたま立ち寄る機会があり、鬼太郎饅頭を土産に買ってきたばっかりだったので、少々、弁護してみたくなっただけのこと。

 

 それで、話は何かと言えば、「ねずみ男駅」を見つけたので、ここに紹介したいというだけである。実に、うん、下らぬ話であるが、でもちょっと子供に戻ったような妖しい気分になったので、聴いて下さい。


足立美術館枯山水庭園
足立美術館枯山水庭園
 

 

 安来市にある横山大観の蒐集で高名な足立美術館を家内と拝観に行った帰り、安来駅からJRで鳥取駅まで移動しなければならなかった。山陰が不便と感じたのは、安来から鳥取へ向かうのに、米子駅で特急を乗り換えねばならぬことであった。一本で行く特急が少なすぎるのである。あとでタクシーの運転手に聞いたところ、米子は鳥取県でありながら経済圏は島根県に属しており、鳥取市との一体感があまりない。そのためか、米子・鳥取直行便の数が少ないのだと説明してくれた。


安来駅
安来駅

ゲゲゲの女房駅内看板
ゲゲゲの女房のふるさと:安来市

ゲゲゲの女房のふるさと
安来駅の土産物売り場もゲゲゲの女房一色!!

米子駅
米子駅に到着
 

 

 

  まぁ、そういうわけで安来駅と米子駅でゆっくりと列車待ちの時間を過ごした。それが、わたしに思いがけない楽しみを与えてくれたのである。

妖怪の駅
    米子駅構内はなにか、怪しげな雰囲気・・・


 米子駅の待合室で何気なく、ポスターを見ていたら、「ゲゲゲの女房」にちなんだものがあった。そこに好奇心をくすぐる0番線ホームの写真があった。「ゲゲゲの女房」のふるさとはつい今しがたまでいた安来市のはずである。怪訝に思い、駅員に「0番線ホームなんて、本当にあるの?」と、冷やかし半分で尋ねると、「はい!あります」と、思いがけぬ答えが返って来た。冗談を言われたと思い、突っ込みで「どこにあるの?」と訊くと、「1番線ホームのあの階段の裏にあります」と言う。

 

 なにやら、この駅員が妖怪に思えてきて、ちょっと引いてしまったが、「行ってみれるの?」と言うと「行ってみて下さい」と答える。

 

 それでは、行かずばなるまいと、トコトコとホームの端にある階段へ向かった。もう、かなり暗くなっていたので、階段の方向も周りはよく見通せない。


0番線
0番線ホームの看板があった!
 

 

 その薄暗がりのなかを近づくと、なんと『0番線』の表示板だけが明々と吊り下がっているではないか。まるで気分はハリー・ポッターである。駅員は妖怪ではなかった。いや、こんな妖しげな景色を自分に見せるのだから、やはり妖怪か、妖怪の回し者なのかもしれない。なにせ、「階段の裏」と言った時のあの目つきは尋常ではなかった。黒目にたしかに赤い炎がゆらゆら見えた気がしたのだから・・・。


0番線ホーム
妖怪世界への、さぁ入り口だ!!
 

 

いずれにせよ暗い階段の裏側に廻ると、
 「あっ!」、「妖怪の世界だ!」

鬼太郎の世界
階段裏の妖怪の世界

 わたしの足が一瞬、凍りつくように止まってしまった。

 

そこには、確かに「ねずみ男駅」があった。そして一両の電車が止まっていた。どこへ向かうのだろうと行き先表示を見ると、「鬼太郎駅」とあった。「うそ?」とよく目をこすると、「境港行き」とあったのでひと安心。

鬼太郎駅ゆき
鬼太郎駅ゆきの電車がゆらゆら・・・

ねずみ男駅
ねずみ男駅の標識

ゲゲゲの鬼太郎
われらが鬼太郎と目玉親爺

妖怪
怪しげな妖怪

妖怪世界
妖怪曼荼羅?
 

でも、境港は水木しげるのふるさとであり、このJR境線の終点は境港駅であるが、別名を「鬼太郎駅」というとのこと。途中の駅名も「べとべとさん駅」、「傘化け駅」、「ざしきわらし駅」、「砂かけばばあ駅」、「こなきじじい駅」など妖怪の名前が付されており、遊び心が満載の路線である。

 

 私たち夫婦は妖怪の世界でしばし遊んで、ようやくやって来た鳥取行きの特急に乗り込んだ。そして現実の世界へとゆっくりと戻って行った・・・。


鳥取駅行き特急
いざ、鳥取駅へ!!
 

 

 そんな旅の出逢いがあったばかりだったので、「ゲゲゲの女房」の視聴率に、「残念!」と唸り、ちょっと理屈をこねてみたってわけ。