東証株価、バブル崩壊後最安値へあと42円だが・・

 

東証時価総額推移1956〜2008年

 

 

 

 

 

 20081024日、東証株価は8000円台をあっさりと割り込み、終値が7,649円となった。2003428日のバブル崩壊後最安値の7,607円へあと42円という壊滅的水準に近づいた。1024日の時価総額(東証一部)も2579774億円へと急落し、過去最高の時価総額であったバブル期の590.9兆円(1989年末)の44%にまで下がる結果となった。また直近10年間の年末時価総額を見ると、その最高値は昨年末の538.6兆円(2007年)であり、その総額から48%の水準、つまり半分の資産価値までこの10か月間で落ち込んだことになった。

 

 この世界的規模での株価急落はもちろん米国の金融危機に端を発し、世界景気の後退が懸念され、実感されるなかで起こったものであるが、パニック的市場心理がその大きな部分を占めていることも一方の事実である。とくに日本の株式市場や為替レートを冷静に見れば、我が国の経済実態に見合った株価水準でないことは分かるはずである。

 

 まず、東証一部銘柄のPBR(純資産倍率という)を見よう。PBRは株価÷1株当りの株主資本(BPS)で計算される値である。1株当りの株主資本(BPS)は株主資本(企業の純資産価値)÷発行済み株式総数で得られる数値である。

 

 理論的にはPBRが「1」のとき、その企業の株価は正当に評価されていると言えるものである。なぜならPBR1より低い値が続く時には、株主はその企業を清算させ、投下資金を回収した方が得という計算になるからである。したがって、理論的にはPBR1」という数値がその企業の株価の下支えと考えられる。

 

 そのPBRを東証一部上場企業平均で見てみると、9月末の数値ですら0.9と1を割る水準にあった。9月末の日経平均終値は11,259円とこの24日の7,649円より3610円、47%も高い時点においてである。因みに24日の株価急落の一因とも言われたソニーの24日の株価で計算されたPBR0.57である。

 

 一方で為替レートを見ると、対ドルで94.28円(25am9:50現在)、対ユーロで119.00円(同)、その他通貨に対しても同様に円は一種、独歩高の様相を呈している。通貨として現在、国際的には「円」が非常に強い通貨であると国際金融市場のプロたちが考えている証拠である。その大きな要因はこの世界恐慌的な世界同時株安の元凶である金融システムの毀損が、日本は国際的な視点で見ると相対的に傷が浅いという点にあると考えられる。

 

 そう考えたとき、日本の今の株価水準はどう考えても低すぎるし、必要以上に他国のパニックにお付き合いし過ぎという感がしてならない。外人投資家やファンドなどが国内の機関投資家とも相まって投機的先物取引等を行うなど市場が複雑な動き・展開を見せるのは当然であり、単純に理屈だけで割り切ることはできぬが、現時点では日本は相対的に安定的な経済環境にあるのだと考えられ、株価水準は実態を無視してやはり突っ込み過ぎではないかと言わざるを得ないのである。

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