世界によい影響をおよぼす国No1は日本、でも・・・(下)

 

英国BBC放送が国際世論調査企業のGlobeScan社と米メリーランド大学に依頼した「2005年から2007年の3年間を通じて世界におよぼす各国の影響」度調査(アンケート実施06113日〜07116日。サンプル数28,389名)において、日本がカナダと肩を並べて、「世界にプラスの影響を与える国」のトップとなったことが37日に公表された資料で明らかになった。

 

BBC放送はさまざまな世論調査を国際的な視点で行ない、その結果を「BBC WORLD SERVICE POLL 」で公表している。今回発表された調査報告は20062月に発表(アンケート実施0510月〜061月。サンプル数39,435名。アンケート国数33カ国。評価対象国数9カ国)されたものと同種の調査である。

 

その調査方法は評価対象の12カ国(英国、カナダ、中国、フランス、インド、イラン、イスラエル、日本、北朝鮮、ロシア、米国、ベネズエラ)について、5大陸27カ国の主要都市部の人々に対して面接(18カ国)あるいは電話(9カ国)によるヒアリングを行なう形となっている。質問内容は「その国が世界におおよそプラスの影響を及ぼしている」「その国が世界におおよそマイナスの影響を及ぼしている」「どちらとも言えない」等から選択する設問形式である。わが国は影響をおよぼす国の12カ国リストの1ヶ国に含まれるが、イラン、イスラエル、北朝鮮、ベネズエラと同様にアンケートされる側の27カ国には入っていない。

 

今回のレポートのヘッドラインは「イスラエルとイランが国際世論調査で最もネガティブな格付けに」となっている。パレスチナとの紛争を繰り返し、国際平和の紛争の火種を常に撒き続けているイスラエルと、国連やIAEAの懸念をよそにウラン濃縮活動を停止せず核保有国への道を頑強に突き進むイランの両国が、国際社会へ最もネガティブな影響をおよぼす国であるとされたのである。

 

イスラエルという国を総サンプル数(28,389名)の56%もの人々が世界にマイナスの影響をおよぼすとした(プラスの影響と答えたのは17%)。またアンケート先27カ国の85%にあたる23カ国で、ネガティブ評価がポジティブ評価を上回っていた。イランもほぼ同様の評価でマイナスの影響をおよぼしているとするのが54%、プラスが18%、国数でいうと約8割にあたる21カ国でネガティブ評価が上回っていた。

 

一方、同時多発テロに見舞われテロとの戦いを宣言し、200110月のアフガニスタンへの空爆や033月のイラク戦争と中東において軍事展開を続けている米国の評価について見ると、総サンプル数の51%が世界にマイナスの影響をおよぼす国であるとした(プラスの影響と答えたのは30%)。また26カ国の内、約85%にあたる22カ国もの国でネガティブ評価がポジティブ評価を上回った。ポジティブ評価が上回った国はポーランド、ナイジェリア、ケニア、フィリピンのみで、友邦とみなされるカナダ(ネガティブ54%)、英国(同57%)ですらネガティブの数字がポジティブを1.61.7倍上回る結果となった。またドイツ(ネガティブ74%、ポジティブ16%)フランス(同69%、24%)ギリシャにいたってはネガティブが78%(ポジティブ12%)と、手厳しい評価となっている。

 

対テロ戦争をぶち上げるブッシュ政権の強引なやり口や世界一極体制への嫌悪感から、自由主義国しかもキリスト教国家においても米国が国際秩序を大きく乱し揺さぶるものとの認識が前回調査同様、強いことがうかがわれる。

 

さてわが国日本はどうかと言えば、冒頭のようにカナダとならび世界にプラスの影響を与える国のトップと評価されている。

 

一年前の前回(062月)調査においても一位にあった。今回は前回と較べて見ても、ポジティブ評価が5554%へ、ネガティブ評価も18%→20%へと若干マイナス評価となったものの誤差の範囲であり、全体としてわが国外交が国際的にプラスイメージを与えていることは素直に喜ぶべきであろう。