心身障害者扶養年金制度廃止への意見書提出--- ?

 

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4.    仮に廃止という方向だとした場合の問題点

(a)   扶養年金制度が「保険」であるとの審議会の認識の間違い

    審議会で扶養年金が生命保険と同様であるとして議論が進められている点だが、生命保険は当然だが被保険者が亡くなった場合に保険金が支給される。

 

    扶養年金は、加入者(生命保険でいう被保険者)が亡くなった場合に、年金受給権(保険金受取権)が発生するのは同様。

 

    生命保険と根本的に違うのは、障害者(生命保険でいう受取人)が親(被保険者)より先になくなった場合、年金受給権(保険金受取権)はなくなることである。

生命保険金の場合は、受取人(障害者)が亡くなった場合でも、保険金受取権が相続人に順次移行していく、消滅はしない点で決定的な違いがある。

 

    障害者の平均寿命が短いといわれた時代にこの制度に入った加入者は、そのリスクを取っている点で、生命保険の倍のリスクテイクをしている点において、生命保険とは根本的に異なるものである。

 

    理屈を並べ立てる以上に、本来、扶養年金制度は約款第11条「調査に協力する義務」にあるように、福祉政策の一環であったと理解していた。同じ生命保険であれば、委員のどなたかがいっていたように掛け捨ての民間保険に我々は入っていたはず(特にh10年の掛け金の変更時には移行を考えたはず)であるし、行政の福祉政策と理解していたからこそ、h10年の掛金大幅引上げにも応じたのである

 

(b)  「加入者からの訴訟」を心配する審議委員の本審議会のスタンスは何か

 議事録を読んでいて、審議委員の本件に対する基本的姿勢は何であるのかを問いたい。「加入者からの訴訟」に耐えうるかとの発言は、「(扶養年金制度を)どのように立て直すかという問題意識から審議をはじめた」と中間報告にあるが、どう議事録を読み直してみても障害者の立場に立った発言ではなく、行政の側に立った発言としか残念ながら見えぬのである。

 

(c)    未受給者への対応

 

    「全国制度の2万円に平均的受給期間分に給付したと仮定した場合の総額をもとに、現在価値に換算して算定」の問題点と疑問点

 

.支給額は全国の1.5倍と手厚い制度であったが、一方で掛け金においても東京都は全国制度よりそもそも高い(全国制度の1.37倍から1.17倍)

.支給額の算出根拠のみを全国ベースとし、返還金において都民のみが高い掛け金を払ってきたことを一切、評価しない根拠・理由は何か。片手落ちといわれてもしかたがないのではないか

.現在価値換算の「割引率」の水準により、支払い金額は大きく異なる。

客観性のある割引率をどう規定するのか。財源が破綻するとした「扶養年金財源の将来推移」の試算で使用した運用利回り0.5%を「割引率」とするのか。

 割引率が大きくなれば、支払い金額は減ることになる。一方で、当然だが基金の運用利回りは上昇することになり、基金の破綻は先に延びていく試算となる。

 割引率と運用利回りは、当然のことだが表裏をなすものであり、説明に都合の良い数字だけを使用すべきではないと考える。

 

    特約付加は東京都のみの制度かと思うが、その支給額1万円は全国制度を参考できないが、何を基準に金額を決定するのか。

 

(d)    年金受給者との公平性の確保に納得しかねる

    既に扶養年金を受給している人と受給権が発生している人との不公平感は、どう埋めるのか。民間の年金も財政基盤が悪化した際、既受給者の受給額の削減も併せて実施することは、周知のこと。未受給者は予定の3万円ではなく、全国ベースの2万円という余りにも安易な対応に、この審議会の目的は誰のためのものなのか、何を目的としたものなのかを問わざるを得ない。

 

    さらに扶養年金は任意加入であるから、未加入の障害者との間に不公平感が生じるとの意見も、解しかねる。当時の障害者制度は身体障害者、知的障害者、精神障害者等縦割りになっていたことは周知のはず。そして、それぞれに補助金の仕組みが異なっていた、即ち不公平であったことも自明の事実であった。軽度の知的障害の人が扶養年金制度への加入が多かったのも、軽度の知的障害者はその助成・補助が少ないとの認識が保護者にあったから、将来に不安を抱えたからこそ、当該制度に加入した事実を知ってもらいたい。

 

    今になって、未加入者との間との不公平感があるというのであれば、当時の障害者間での不公平な補助金のあり方については、行政はどう説明するのか。誠実な回答を求めたい。廃止に都合の良い理屈・事実のみを取りあげて、議論するのは厳に慎んでいただきたい。

 

以上