小泉施政5年の総括――格差社会の拡大

 

「小泉内閣5年の総括 にもどる)

 

                               ()内は西 暦     

ジニ係数  0.35(81)  0.43(90)  0.47(99)  0.49(02) 0.526(05)

非正規雇用者数(万人)1043(96) 1225(99) 1406 (02) 1663(06)

同上比率(%) 21.4(96)   24.8(99)   28.7(02)    33.2(06)

パート/一般労働者賃金比率(%)45.9(90)  43.7(95)   39.1(02)

生活保護世帯比率(%)14.0(93) 15.7(99)  18.9(02)  25.0(04)

一世帯当平均所得(万円)661(96)  626(99)  589(02)  564(05)

 

 小泉改革影の部分の代表的なものとして「格差社会の拡大」が挙げられる。上記の数字をご覧いただきたい。すべての数値が悪化傾向を示している。そして、その数値とは社会の貧困層を数値で表してみたものである。

 

 小泉内閣最後の国会となった第164回国会でも、小泉施政5年間で「富める者はより富み、貧する者はより貧していく」社会構造が定着しつつあるとの批判・質問が野党及び与党公明党よりなされた。小泉総理との間では論争といおうか、いつもの小泉流カメレオン・はぐらかし答弁により格差議論は深まりを見せないまま、店晒(タナザラ)しにされて、最後の国会は閉会となった。その虚しいやり取りの一部を、まず、総括の前段として国会議事録から転記するとともに、記者団とのやりとりも掲載する。

 

内閣府が高齢化社会と核家族化の進展により世帯当りの所得が減少したことが、ジニ係数(所得格差を示す代表的指標=次回詳述)増大の主因であるとして、我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で報告したのは1月19日である。ここで、その後の国会議事録・記者団とのやり取りを以下に記すことにする。

 

小泉総理の格差社会固定化についてどのような認識を持っていたか、真に国民の立場に立つ意思があったかが、国会答弁や記者団とのやりとりのなかから、自然と明らかになると思うからである。つまり、国民の間に格差が拡大していることなんて同氏にはほとんど関心はなく、重要な位置など占めていなかったということである。

 

 

06.1.26衆議院予算委員会)

(公明党 上田勇議員質問)

最近非常に関心が集まっております経済格差の拡大の問題について、総理にお考え方をお伺いしたい

 

(小泉内閣総理大臣答弁)

社会の格差の問題について、最近よくジニ係数という言葉が使われます。我々学生時代はエンゲル係数とかいって、家計のいわゆる食費の割合。これはもう学校でよく習ったんですけれども、我々の学生時代にはジニ係数という言葉はほとんど聞かなかった。しかし、最近よくジニ係数という言葉が出てきますね。これは、社会の中において、所得の格差がどの程度とかいろいろ統計データがあるわけですが、そういう統計データを、私、識者からよく伺ってみますと、現在、言われているほど日本社会に格差はないということであります。

 

06.1.27衆議院予算委員会)

(民主党小川淳也議員質問)

私ども民主党も、小泉改革の光と影という角度からお尋ねを代表質問以来させていただいております。公明党の神崎代表も大変いい御質問をされておられます。自民党の青木参議院議員も大変いい角度から質問をしておられます。昨日の公明党、上田委員もそうでした。格差に関して、一言で言えば心配しているわけですね。・・・この点に関して、小泉総理は、格差拡大は確認できない、そうおっしゃいました。これは、総理に何度聞いても同じでしょうから、少し相手方をかえて、谷垣財務大臣にお尋ねをしたいんですが、日本社会の格差の拡大は確認できない、大臣も同じ認識ですか。・・・内閣府が我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で準備をしたのは一月十九日。

【この小川議員の質問は総理に何度聞こうが、埒があかないと谷垣財務大臣へ質問の矛先を向けている。この件で総理の答弁はなし】

 

 

(格差問題で平成1826日朝日新聞記事)

「所得の格差が拡大74%」という国民の意識調査結果を掲載。

「格差拡大が問題であると見ている人は、(74%)そのうち7割を超えた、また格差拡大を感じる人の半数が小泉内閣の政策に関係があると答えた。

 

(格差問題に関する朝日新聞記事に対する記者団の質問に対し:220日)

小泉首相は、朝日新聞社の世論調査で格差拡大を感じる人が7割を超え、その半数が小泉首相の政策と関係があると答えた点について「結びつけるのは拙速ではないか。短絡的ではないか」と記者団に語った。首相は「格差はどの国でも、どの時代でもある。必ずしも格差があるから悪いということではない」と述べた。

 

 

06.5.17衆議院厚生労働委員会)

(民主党の園田康博質問)

総理在任中のこの五年間で、格差が生まれたということが言われましたね。総理は、最初は格差は認められない、そんなことまで言っていました。ところが、途中から分が悪くなったんでしょうか、格差が生まれることはいいことだ、そこまで言い切った。

 

(小泉内閣総理大臣答弁)

私が言っているのは、ジニ係数によって、格差が生まれているということじゃないんです。ジニ係数というものによって格差が広がっているという数字があるから専門家から聞いたら、それほど格差があるという状況じゃないという専門家からの意見を受けているということを申し上げているんです。そして、どんな時代においてもどんな国においても、格差は今までもあった、これからもあるでしょう。しかしながら、格差を固定化しないように、一度や二度失敗してもまた挑戦できるような機会を提供していかなきゃならないということを言っているんです。格差ゼロの社会はないと言っているんです。

私は、これからも格差というものを固定しないで、できるだけ多くの人がさまざまな持ち味を生かすことができるような社会をつくっていきたい。そして、日本は各国に比べても格差は低い方の社会である。今後、この格差を固定化しないように、さらに多くの人が頑張って、努力する人と努力しない人がいたとしても努力する人が報われるような社会をつくっていくべきだということを言っているわけであります。

 

 以上の諸々の発言は、小泉氏が格差の拡大を大半の国民が認め、その原因が小泉内閣の政策にあると思っていることに対し、もし、そうでないと反論するのであれば「必ずしも格差があるから悪いということではない」などと、開き直ったような詭弁を弄する必要はない。

 

「どの政策が格差を生じさせたと言っているのか」とまず問うべきであり、この政策と名指しされれば、

「その政策によって格差拡大が生じたことはない」と、断言すればよいのである。

 

┐砲弔鼎