「小泉施政5年の総括 

 

(連載 銑─

 

今から52ヶ月前の平成13年4月26日の午後、衆参本会議での一致した議決で、小泉純一郎衆議院議員が87代目(56人目)の内閣総理大臣として国会指名を受けた。

 

同日夜の総理親任式及び国務大臣認証式の後、内閣総理大臣談話を発表。その中で、「政治に対する国民の信頼を回復するため、政治構造の改革を進める一方、『構造改革なくして景気回復なし』との認識に基づき、各種の社会経済構造に対する国民や市場の信頼を得るため、この内閣を、聖域なき構造改革に取り組む『改革断行内閣』とする決意です」と述べた。

 

続けて「改革を推進するに当たって、常に、旧来の利害や制度論にとらわれることなく、共に支え合う国民の視点に立って政策の効果や問題点を、虚心坦懐に検討し、その過程を国民に明らかにして、広く理解を求める『信頼の政治』を実施してまいります」と高らかに語り、小泉内閣はこれまでにない内閣支持率を追い風にこの日本丸を海図なき航海へと船出させたのである。

 

【4.26        内閣総理大臣談話】

http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2001/0426danwa.html

 

それから、はや5年が過ぎた。この9月の自民党総裁選を機に、総裁の椅子を降りると宣言し、618日に第164回国会を終えた今、大手メディアは後継者予想とその品定めに忙しい。

 

そして国会閉会を心待ちにしていたかのようにして、小泉総理は30日にテネシー州メンフィスの故エルビス・プレスリー邸「グレースランド」を訪問するため、北米へと旅立った。一応、直接にメンフィスを訪れるのも気が引けるのか、カナダのナイアガラの滝を先に見学して、「壁がグリーンだと思ったんだけど、流れがグリーンだったんだね」と、感嘆の声を上げて見せた。そうはしゃぐ小泉総理の瞳に国内で明日の糊口をどう凌(しの)ぐかを寝ずに悩んでいる民がたくさんいることを案じる光は、ひと時も灯ることはなかった。

 

20日、北海道の夕張市は、自治体の倒産にあたる「財政再建団体」になると表明し、総務省に申請をすることとなった。地方経済の荒廃が言われだして久しいが、とうとう、自治体の崩壊が始まった。第三セクターをふくめて夕張市の事例はまだまだ氷山の一角に過ぎないのだろう。

一方、安全保障面では、北朝鮮のテポドン2号の燃料注入、発射の懸念も拭えぬ状況である。

 

この内外情勢のなか、国会会期の延長を頑なに拒み、教育基本法案など重要法案を積み残したまま、あえてカナダ、アメリカへわたる必要があるのだろうか。国民は果たして、こうした小泉総理の政治に対する姿勢について本当に納得しているのだろうか。退陣表明の後も、まだ40%の支持率を維持する化け物総理の5年におよぶ政治の総括を始めたいと思う。

 

△砲弔鼎